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ホアキン・フェニックスの熱演&怪演!
主演のホアキン・フェニックスがアカデミー賞など、いくつもの賞を受賞しただけあり、後にジョーカーとなる男・アーサーの人物描写はとても重いです。予告編を観た限りでは、ちょっとダークだけどポップでテンポの良いアメコミ映画ぐらいに思っていましたが、想像以上に心理的な情景に重点が置かれていました。
ヒーローのバットマンに対する悪役のジョーカーですが、彼を主役にした映画ならば、当然、観客を感情移入させるだけのエピソードを盛り込んでくるだろうとは思っていました。悪の怪人になるに至った、納得させられる経緯をです。
しかし、この作品で観せられたものは予想をはるかに超えていて、主人公アーサーはまさに転がり落ちるように不運に見舞われ続け、ストーリーはドロ沼化。そのこれでもかと襲いかかる悲しみ、苦痛を臨場感を持って表現しきったホアキン・フェニックスの熱演は見事でした。
ひとりの人間が悪に目覚めるまでに何があったのか?それを理解しようとすることは、世界の多様性を認めることにも繋がります。もちろん悪を認めるということではありませんが、そこに至るまでに、憐れみを受けなければならなかった部分があるということが重要なのではないでしょうか。