大統領の執事の涙

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大統領の執事の涙
9

自分の知らない世界を見ることが出来る作品

まず最初のシーンに衝撃を受けました。アメリカの黒人差別について、多少知ってはいましたが、実際にどんなことが日常的に行われていたのかを垣間見、しばらくショックでした。白人は黒人を人と思っていない、まるで犬のように気に入らなければ殺してしまえるなんて…どうしてこんなひどい人種差別が行われたのか、未だにどうしても理解できないところはありますが、歴史に刻まれた醜い事実を知るのは大事だと感じました。興味深いのは、そうした差別にあう人々の中でも考え方や感じ方、表現の違いがあり、それが道を切り開いて大きく広がり、結局一つの目的に到達する、ということを一つの家族を通して見れるところです。それがこの映画の深いところだと思います。執事になったバトラーは家族を持ち子供が生まれますが、息子の考え方を受け入れられず、価値観の違いが親子に長く確執をもたらしてしまい、同じ悲しみを背負っているのに分かり合えない感じはすごく切なくもどかしく感じました。とにかくとても考えさせられます。穏やかで芯の強い主人公の考え方、ふるまい方は人としてとても尊敬できます。それでも堅苦しい映画ではなく見ていて展開が早くあっという間の二時間です。もっとこんな作品があったらいいなと思います。