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地下強制労働施設編のおもしろさ
エスポワール編の続きのお話です。
カイジが地下強制労働施設に送られてしまい、そこから這い上がっていくシーンを描いたものです。
初めにこの話を読んだ時はいろいろと衝撃を受けました。ここで働けば借金の利子が増えない、わずかではあるが、返済とは別におこづかいもある、施設の中で食べ物・嗜好品等購入可能、頑張り次第では外の世界に出られるといった、地に落ちた人間が行き着く地獄の施設でありながらも救いがある(ほかの漫画だと自由も何もない本当の地獄のように書かれることが多い)。施設で働く人々の中で序列が自然に形成されて行っているのがすごく興味深く思いました。
ギャンブル漫画でありながらも、カイジという一人の人間がもがくにもがいて現状を打破していこうとするヒューマンドラマのような感覚で読むこともできます。
地下施設でのギャンブルも出てきますが、登場人物がすごくいい味を出しています。特にカイジの所属する班の班長さんは、いい感じのくそ野郎です(笑)。巧妙な手を使って相手をだまし、それがばれてしまったら何とかごまかそうと必死に乗り切る。すごく最低な人間ですが、どこか憎めない、共感できる部分もあり、癖になる漫画です。