マンガ史に残る名作
物語の始まりは突然、なんの脈略もなく深夜に空から寄生虫のような地球外生命体が誰にも気づかれず人体に侵入していくところから始まります。侵入された人間のほとんどが体を寄生生物に乗っ取られる中、主人公の泉新一は脳への侵入を防ぎそのまま眠りに付きます。しかし翌日自身の右手がありえない方向に曲がったり、絶対にかなわない不良グループを右手一本で追い返したりと様々な異変が起こります。右手の異常性に怯えながら自宅で自身の腕をナイフで刺そうとすると、右手の感覚が薄れてから目が出現し喋り始めました。その後寄生された右手と様々な困難に出会うことはこのとき誰も知らなかったことでしょう。
この漫画は物語が進むにつれて主人公の心情が大きく変わっていきます。さらに人間とはなにか、地球にとって人間の存在は害であるのか、人間の形をした寄生生物と人間は共存できるのかなど単純な人間VS寄生生物といったバトルマンガの構成ではなくある意味哲学的な深いメッセージを感じます。全10巻完結という中、その他多くの漫画では表現されていない人間の中にある明るい部分、暗い部分が余すとこなく書かれています。個人的に主人公が必殺技などの名前を叫んだりせず淡々と敵を倒す場面があるのですが静かながら哀愁が漂っておりぐっと来ました。人生に疲れたなと思った方必読です。