寄生獣 / Parasyte

『寄生獣』とは、1988年F号から1989年H号まで『モーニングオープン増刊』(講談社)で掲載され、その後1990年1月号から1995年2月号まで『月刊アフタヌーン』(講談社)で連載された、岩明均によるSF青年漫画である。物語は寄生獣ミギーと共生することになった、泉真一(いずみしんいち)の数奇な運命を描いている。
コミックスは全10巻、完全版全8巻、新装版全10巻、文庫版全8巻が刊行された。累計発行部数は2013年時点で1,100万部を超えた。メディアミックス化されていない作品でこの数字を叩き出すのは稀なことである。
その後アニメ化や実写映画が制作され、累計発行部数は2020年時点で2,400万部を超えた。1993年に「第17回講談社漫画賞」の一般部門、1996年には「第27回星雲賞」のコミック部門を受賞した。テレビアニメは2014年10月から2015年3月まで放送され、実写映画は第1部が2014年11月29日、第2部が2015年4月25日に公開された。泉真一役を染谷将太が演じ、ミギーの声を阿部サダヲが担当した。

abcdeu3のレビュー・評価・感想

寄生獣 / Parasyte
9

人間の価値観を考えさせられるSFヒューマン漫画屈指の名作

寄生獣は1988年から1995年まで岩明均によって描かれたSF青年漫画です。緻密なプロットで無駄の無い展開、しかも10巻完結なので休日の一気読みにはオススメです。しかし、バトルではグロいシーンも登場するので、苦手な方はあらかじめ心の準備をしておきましょう。
物語は人間の脳に寄生する謎の生物がある夜、大量に降り注ぐ場面から始まります。主人公である高校生・泉新一は、謎の生物からの進行を右手で食い止め、寄生されてしまいます。右手に寄生した生物を「ミギー」と名付け、共同生活をスタートさせます。しかし、不完全な寄生をはたした新一とミギーに対し、寄生に成功した謎の生物が次々と襲いかかります。新一の通う学校への襲撃、新一の母の死など次々と事件は起こります。寄生生物との戦いで深手を負った新一は、傷口をミギーの一部と同化することにより異変が訪れます。人間以上の身体能力、人間らしい感情の欠如など徐々に変化していく新一。その姿にガールフレンド・村野里美も離れていってしまいます。自身の変化に戸惑い悩む新一ですが、寄生生物のある策略を知ります。それは寄生生物による街の侵略でした。この計画を阻止する為、新一は謎の生物と最後の闘いを決意します。知的な寄生生物・田村玲子や最強寄生生物・後藤などクセの強い寄生生物から新一は人間社会を守れるのか。本作では、人間と寄生生物、異なる価値観をバトルや語りを通じて「生きるとはなにか」という普遍的テーマを投げかけてきます。読み終えたときには、自身の価値観について考えさせてくれる名作です。