椎名林檎 / Sheena Ringo

椎名林檎 / Sheena Ringo

椎名林檎(しいなりんご)とは、日本のシンガーソングライターである。「林檎」という名前は、自身がバンド活動を始めた時にドラムを担当しており、ビートルズのドラムもリンゴ・スターだったことが由来である。
1998年、シングル『幸福論』でデビュー。翌年にリリースした3枚目のシングル『ここでキスして。』がヒットし、『ミュージックステーション』に初出演を果たした。同年にリリースしたファーストアルバム『無罪モラトリアム』は、『ここでキスして。』のヒットを受けてミリオンセールスを記録した。1999年、4枚目のシングル『本能』をリリースし、同曲のプロモーション活動をナース服で行い、大きな話題となった。
2001年に結婚と妊娠を発表したが、翌年離婚した。
2003年には、シングル『茎 (STEM) 〜大名遊ビ編〜』を発売し、自身初のオリコンシングルチャート1位を獲得。2004年になると、東京事変を結成し、バンド活動をスタートさせた。2016年に開催されたリオ五輪閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーでは、クリエイティブスーパーバイザーと音楽監督を担当した。

1yrule-hikoのレビュー・評価・感想

椎名林檎 / Sheena Ringo
7

方向転換する以前の初期の作品に惹かれた

シングル「幸福論」をリリースした98年のデビューから、99年のファーストアルバム『無罪モラトリアム』を経て、2000年のセカンドアルバム『勝訴ストリップ』で完成し、一度頂点を迎えた音楽観を手放してしまったことが、非常にもったいないなと思います。

2001年のシングル「真夜中は純潔」を聴いたとき、あれ?と思いました。
そっちの方向に行っちゃうのかと。
2003年のサードアルバム『加爾基 精液 栗ノ花』を聴いてもやはり、別の方向性に転換したような印象を受けました。

もともと、椎名林檎は自身のありのままを曲で表現するタイプではなく、思い描くイメージや、意図的な設定を形にしていくクリエイタータイプだということを聞いたことがあります。
初期の作品に見られたロック魂が見られなくなった代わりに、方向転換して以降は、よりクリエイター魂を炸裂させているのかもしれません。

とは言え、やけに大人になってしまった音楽に寂しさを感じることは確か。
絶望の中で信じられるものを渇望していた、あの頃のような椎名林檎はもう見られないのでしょうか。

『勝訴ストリップ』からのシングル曲、「ギブス」。
日本の女性アーティストによるバラードとして、これ以上に感銘を受けた曲はありません。
ミュージックビデオを含めて、ひとつの作品として素晴らしい出来でした。
椎名林檎の美しさも格別なものだったと思います。
しかし、サウンドや歌詞の表現には、少し拙さがあったように感じます。
だからこそ、この路線で成長していってほしかった。

様々なアーティストが自分の音楽性を広げていき、一周回って原点に戻ってくるということがあります。
椎名林檎にも、その可能性がないとは言いきれません。
いつかまた、初期のような作品が作られることを望みます。