魔法使いの夜

leonhardy1のレビュー・評価・感想

魔法使いの夜
8

シナリオノベルゲームの知る人ぞ知る名作「魔法使いの夜」

「魔法使いの夜」はTYPE-MOONから出されたシナリオノベルゲームです。
TYPE-MOONというと「Fate」シリーズは知っているという方も多いのではないでしょうか。
この「魔法使いの夜」も世界観はFateと同じく魔術の存在する世界の物語で、二人の魔術師の少女と一人の山奥で生まれ育った少年のお話です。
この作品の最大の特徴は、選択肢が無い、という点です。
シナリオゲーム定番の、選んだ選択肢によるルートの分岐がありません。
つまりひたすら文字と画像を追っていくだけになります。
ここだけ聞くと「それつまらなくね?てかゲームじゃ無くね」という方も多いと思います。
そういう方にこそ、この作品はやってみてほしい。
ネタバレを防ぐためにストーリーについては詳しく書きませんが、これはこれまでの常識を覆すだけの魅力を持つ作品です。
この世界観は、字だけの小説のみならず、漫画やアニメでも、ほかのスタイルでは決して表現できないものです。
アニメ業界ではきれいな作画やCGをふんだんに使った戦闘シーンが高く評価されていますが、物語とはそれがすべてではない。
限られた絵と文字と音楽でこそ、登場人物の内面の奥深くまで入り込める。
「魔法使いの夜」は心理描写がとにかく秀逸で、それによって動く絵に頼らずとも躍動感のある作品に仕上がっています。
作者も自身でおっしゃっていましたが、これはシナリオノベルゲームの最高傑作です。