すべてのアニメを過去のものにした。最高の青春ロードストーリー!
明日どこにいるのか、明後日どこを進んでいるか想像できない世界にそれでも、踏み出す。
初めて遠くに旅行に出るときに、自分の空になった部屋に「行ってきます」と言ったことはないですか?
想像しているうちは楽しいけど、いざ足を動かすと怖くなってしまうことはないですか?
それでも、踏み出したことでかけがえのないものを得たことはないですか?
このアニメは、そういった誰もが感じたことのある、初めての冒険をもう一度味わえる作品です。
大きな挑戦をするからには、これまでの殻を破る必要があります。
中には、思い切って手放さなければいけないものもあるかもしれません。
その冒険に、手放したものを超える価値があるのか、思い切るだけの意義があるのか、そんなことは分かりません。
それでも、ここじゃないどこかへ、今しかできない大きいことを、自分を変えるため、得難いものを得るために、主人公たちは南極に向かいます。
女子高生、南極へ行く。突拍子もないテーマです。
ある意味では、昨今流行りの「オッサンのやることを、女子高生にやらせるシリーズ」の1つの終着点とも言えるかもしれません。
最終回では、堺雅人主演「南極料理人」を思わせるシーンも登場します。
ただ、見どころは「南極」というテーマ設定だけではありません。全13話の、その多くの時間は、南極に向かうための主人公たちの挑戦が描かれています。
その、一切の妥協のないストーリー展開。全13話の根底には常に一貫したテーマが大きな川のように流れながらも、一話一話、その回に発生したトラブルや出来事は必ずその話で決着させる。捨て回や、カタルシスを貯めるための後味の悪い話は1つもありません。
それでいて見終えた後の満足感はすさまじい。それは30分とは思えない秀逸な脚本と、こだわりぬかれた絵に支えられています。
背景のカラーチャートは国内シーンと海外シーンで空気感を変えるためにテレビアニメとしては異色の2パターン設定を設け、その豊かな背景の中をよく動くアニメーションでキャラクターたちが生き生きと活躍します。
旅行が好きな方、良質なアニメーションが好きな方、青春ストーリーが好きな方に、是非おススメしたい作品です。