大河ドラマ路線へ
本作は前作「ダイナマン」までを経て、戦隊シリーズが大河ドラマ路線へと舵を切ることになった、そのきっかけとなった作品です。
冠名が「超電子」とありますが、ここからもわかるように本作は「デンジマン」の設定を継承した上で、より「宿命」の要素を強くしています。その証拠にバイオマンに選ばれた五人はかつてバイオ粒子を浴びた先祖の孫という設定になっており、またかつてのバイオ星のような悲劇を繰り返さないためにと新帝国ギアの戦いに情熱を燃やします。
そして何より本作において大きかったのはイエローフォーこと小泉ミカの存在です。
初期10話しか出ていない彼女ですが、唯一レッドワンの郷史朗に横から意見できるほどのタッパとカリスマ性を持ち合わせ、また最初にバイオマンとしての宿命すら拒否しており、それでチーム全体が揺れるほどの存在感があります。
また、新帝国ギアもドクターマンが初めての元地球人のマッドサイエンティストであるとか、その息子との壮大な親子のドラマがあるとかのちの「メガレンジャー」のドクターヒネラーを思わせる設定があり、より骨肉相食むハードなロマンスとなっております。
しかし、これが年間通して徹底できたのかというとそうでもなく、特に大きいのはやはり小泉ミカの降板とそれに伴う路線変更であり、当初の予定通りに行えず、また終盤で仕込んだ郷親子と影山親子のドラマの対比もうまく結実せず、結果としてはそこそこの「佳作」止まりでした。
しかし、この失敗が次作「チェンジマン」の大きな試金石となっているのだから、決して無駄ではない。
そんな過渡期の一作です。