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物語音楽、その意味
幻想音楽楽団Sound Horizon
歌とセリフとSEによって紡がれる、物語性を持ったアルバムを10年以上に渡って世に送り出してきた楽団です。
メンバーは主宰のRevoを除いては決まっておらず、曲と物語に沿うアーティストをその都度Revoが集める形で成り立っています。
7つ目のアルバム「Marchen」では初音ミクや宝塚でタカラジェンヌを務めた彩乃かなみを起用したり、集めるメンバーは非常に多様です。
Revoによって紡がれる音楽、物語は常に死を纏っています。
愛した男に裏切られ、復讐を果たした女。
生まれる前に死んでしまった水子の概念。
国に、因習に、家族を奪われた青年。
幼いころの初恋を貫いて、磔刑に架された女。
これらは全て、奪われた物を(紛い物かもしれなくても)奪い返した弱者の物語、奪った物を奪われる強者の物語でもあります。
そのように死が色濃く付きまとったとしても、その物語の本質は一貫して「愛」を秘めています
もう届かない愛を懐かしみ、愛を奪われ嘆き悲しみ、そしてもうすぐ生まれてくる愛に「幸福でありますように」と祈る、そんな音楽を、Revoは創り続けてきました。
音楽に物語やセリフがついてくることに、違和感や落ち着かなさを感じるでしょうが、一度受け入れてしまえば、その音楽の魅力のとりこになること間違いありません。