成長した作者と…『良い祖母と孫の話』(ネタバレあり)

pixivで見つけた漫画作品ですが、いつの間にかリメイクされていて驚きです。しかも、全4話の拡大版。旧作では「この先どうなるんだ」と思わせる落ちだったんですが…?

旧版

pixiv.navirank.com

個人的感想:おばあちゃんの真意はどっちなんだ…まさか今更仕返しというわけでもなし、単純に「あの子が好きだから」ってことなんでしょうか、ねえ。でもそれが「しょうちゃん」には吐き気をもたらすほどきついと。「いつもの食事はどうしてるんだ」とか「しょうちゃんの両親は?(共稼ぎでおばあちゃんの家に預けられてる?)」なんてことが気にはなっていましたが、頭の片隅にとどまる程度。ストーリーや表現の方に引き込まれます。ことに、「ばれた」時の表情。「怒られる」とかじゃないんでしょうね。しょうちゃんの心境としては。

新版(全4話)

名前が「しょう子」に変更(「しょうちゃん」といえば「しょうちゃん」ですけども)。旧版で語られていなかった両親の実態、おばあちゃんと同居することになった理由をはじめ、しょう子の心情が回想や時たまシンボリックな絵で、淡々と語られています。

comicawa.com

追加キャラ・大木ちゃん

大木ちゃんの背景も気になるけど、これは「いい祖母と孫」、つまりおばあちゃんとしょう子の物語です。彼女は彼女で何か背負ってるにしろ、本筋には関係ない。だから描かれない。必要以上に語らないのがいいんでしょう。そこのところ、この作者さんはうまいと思うのです。

追記・同一作者による別の漫画

こちらもpixivに投稿された作品。先に『良い祖母と孫の話』を読んでいたのでヒヤヒヤしながら読みました。

www.pixiv.net

個人的感想:変化を描くのうまいですね、この人。イメチェンと、それにより周囲の目が「変わっていく」という「目に見える変化」。いじめにも似た心理が「あの子をかわいくしていくのが楽しい」という建設的な心理に変わっていく様。リーダー格の子が居場所を失っていく様など、「本人たちには分かりづらい、あるいは目に見えない変化」いうものを、見事に描き切っています。

まとめ・作者名は加藤片(敬称略)

元々『良い祖母と孫の話』は学生時代に描いたものだそうです。その時点で脱帽ものですが、完結に至ったのは、氏が社会人となってから。学生時代の旧版でもある意味完結はしていたんですが、「続きを描きたかった」という旨語っておられました。完結に至るまで、様々な環境の変化が加藤さんを成長させたはず。それが作品にも反映されたのかもしれません。お仕事の傍ら漫画を描いておられるそうですが、今後が大いに期待される作家さんの一人です。ちなみに「かとう・かた」さんとおっしゃるそうです。

新版、旧版が真逆の印象で終わるのも凄い所です。

katakatoh.tumblr.com

えどまち
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@edono78

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