厳選ホラー『意味が分かると怖い話』とその解説集
ただ「ウワアアー!」なビックリ系怖い話じゃ飽きてきた……というあなたへ、本当の意味を理解してからじわじわ、ゾワッとさせられる怖い話をお届け。「どういうこと!?わからん!」という人へ向けた解説もご紹介いたします。
意味が分かると怖い話とは?
◆点検員
俺は電力会社の点検員。
実は今ニュースで流れた事件の被害者の家に今日行ってるんだよね。
インターホン2回押しても出てこないので拳でノックしたらやっと出てきた。
髪ぼっさぼさ&ひげでしかもパジャマ姿でニート丸出しだった。
ブレーカーの場所まで案内するのもなんか探り探りだし、よっぽど部屋にこもりきってたんだろう。実際に点検す
るときもずーっと俺のこと見てんの。
不気味だったからちゃっちゃと終わらせておいとましたよ。
でもテレビで出た写真は髪も整ってるし髭も剃ってるしで好印象。人って身だしなみでがらっと雰囲気が変わる
んだなとオモタ。
同時に警察って結構頼りにならないなと思った。
俺は正午くらいにラーメン食ってから行ってたから、警察がいう死亡推定時刻午前11時は変だ。
ま、明日にでも聴取が来るだろうからそのとき言うわ。
出典: toshiden.blog.jp
◆解説
ポイントは警察の死亡推定時刻と被害者の容姿です。
結論から言うと、警察の推定時刻は誤りではありません。
実際、その時間にテレビニュースで放送された男性は亡くなっていました。
視点主が見た男性は、ボサボサニートでのまるで別人のような人……自分の部屋のことすら知らないのだから、きっと家主ではないのでしょう。
視点主は、犯人を家主(=被害者)と思い込み、対面しやりとりをしていたのです。
もしかしたら、部屋の奥にはたった今殺されたばかりの本当の家主がいたのかもしれません。
◆井戸
ある日、泣き声がしゃくに障ったので妹を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
5年後、些細なけんかで友達を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
10年後、酔った勢いで孕ませてしまった女を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
15年後、嫌な上司を殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていた
20年後、介護が必要になった母が邪魔なので殺した、死体は井戸に捨てた
次の日見に行くと死体は消えていなかった
次の日も、次の日も死体はそのままだった
◆解説
死体を入れれば勝手に処理される都合のいい井戸など存在しません。
視点主の知らないところで、誰かが処理していたのでしょう。
しかし、その誰かが殺されてしまえばもう代わりに処理してくれる人はいなくなります。
これまでお母さんが死体処理をしてくれていたことを、視点主は消えない死体を見てはじめて知ったのでしょうか。
◆重大なミス
俺は今日、重大なミスを2つ犯した。
1つ目は家の鍵をかけ忘れてしまったことだ。
遅刻しそうだったので慌てて出てきて会社に着いてから気づいた。
なんてことだ。まあ俺の家は風呂もついてない1Rだし盗られるものもないし大丈夫だろう。
2つ目の方が重大だった。会社で使う携帯を忘れてしまったことだ。
どうやら俺は忘れっぽい部分があるらしい。
おそらく朝トイレに入った時にメールうってそのまま置きっぱなしにしたのだろう。
俺は営業マンだから携帯を使えないのは痛い。上司にこっぴどく怒られたよ。
もうこんな失敗は2度としたくないね…。
そしてさっき人生最大の不運が訪れたんだ。
鍵を開けて家に入ったら部屋がめちゃくちゃに荒らされていたんだよ。
やられたよ。空き巣だ。窓は開いてなかったし玄関から入ったんだろう。全くついてない。
しかし盗られたものがなかったことは不幸中の幸いだな。荒らすだけ荒らして帰っていきやがったw
おっといけない。携帯をしまうのを忘れていたよ。
また明日も携帯を忘れたらクビになっちまうw
早めにカバンにしまっとかないとな。お前らも空き巣には気をつけろよwww
◆解説
1つ目のミスとして「鍵をかけ忘れた」とあるのに、3段落目では「鍵を開けて家に入った」となっています。
つまり、誰かが中から鍵をかけているということです。
その誰かは今、どこにいるのか……風呂のついていない1Rで隠れられるところなんてトイレしかないでしょう。
そして視点主は今まさに、トイレに置き忘れた携帯を取りにいこうとしています。
◆ママ
「ママ、今から帰るからね」
「うん、わかったー」
「ちゃんとお留守番してた?」
「うんー」
「ケーキ買って帰るからね」
「うんー、あ、誰かきたー」
「宅急便屋さん?」
「待っててー」
「行かなくていい!」
「おまわりさんだったー」
「開けちゃダメ!」
「もうここにいるよー」
10年後、母とはまだ会えていない。
私から母を奪ったこいつらを、私は許さない
◆解説
お留守番をしていた子どもが、自分の母親だと思っていた人は、実は誘拐犯。
誘拐犯が不在のうちに救助に来た警察によって保護されたのです。
しかし最後の文章を見る限り、視点主は未だに誘拐犯を「母」だと思い込んでいるようにも解釈できます。
いわゆる「ストックホルムシンドローム」が幼い子と誘拐犯のあいだで成功しているのでしょう。
◆パズル
やっぱパズルっていいよね!
最近一人暮らしするようになって、
部屋のインテリアとして、パズルを飾ることにしたんだよ。
光を浴びて、暗くなると光るってやつで、その光が儚くていいんよね。
この前も夜帰ってきたら、そのパズルが淡く光っててさ、
なんか出迎えてくれているようで癒されたんだよ。
またパズルやりたくなってきたし、
今度は同じサイズで2000ピースのやつ買ってみるかな。
出典: 73.xmbs.jp