【鬱注意】大人が読むべき、情緒不安定に効くマンガ

年齢を重ねると、子どもの頃好きだったマンガやティーン向けの作品に共感しづらくなってしまうのではないでしょうか。しかし、マンガ=子どもが読むものでは決してありません。仕事に疲れ半目しか開かない状態で懸命に生きる大人にこそ、「効く」マンガも存在します。あくまで「効く」のであり、ノイローゼ状態を改善させるかは分かりませんが、おすすめコミックをご紹介します。ぜひ、日曜の夜に読んでください。

根本敬「亀ノ頭のスープ」

まず、タイトルが出オチ気味です。
そして一枚ページを開いたなら筆圧と書き込み力に圧倒され、「ウッ……」っと息をつまらせてしまいそうなほどのエネルギーに満ちた作家・根本敬さん。

今作は特に、「21世紀の精子ん異常者」というタイトルからはじまっていく、あまりに濃厚な作品集です。

内容は、小学生からも熱い支持を受けそうなエロネタや下品ネタを、さらに濃縮にした小ネタの連続という感じ。
キング・クリムゾンもご立腹間違いありません。
しかしながら「これこそがマンガ界のプログレッシブだ」と言われれば、それで納得してしまいそうな説得力もあるのが驚きです。

逆柱いみり「空の巻き貝」

望月勝広という名義でも活動していた男性漫画家。

「空の巻き貝」は、子どものころに、とにかく怖くて気持ち悪い悪夢を見て、あまりのおぞましさに飛び上がった経験を、大人になってから強制的に思い出させられたかのようななんとも言えない読後感を覚える作品です。

著者の作風にはいわゆるストーリーがきちんと無いのですが、この読後感のためだけにページを開きたくなると言っても過言ではないでしょう。

安部慎一「美代子阿佐ヶ谷気分」

1970年代の阿佐ヶ谷の空気を描き出した、アンニュイな質感がラストまで残りつづける、低体温な作品です。
著者は女性の美しさを描き出すことが非常にうまく、なにげない筆跡からもセクシーさを感じ取り、それが余計に寂しい気持ちを煽り立てます。

発売から40年近く経った2009年には映画化もされ、その時の楽曲は人気ロックバンドSPARTA LOCALS(スパルタローカルズ)が担当。
ギターボーカルの安部コウセイさん、ベースの安部光広さんは、安部慎一さんの息子さんです。
作品を読んだあとは、あわせて映画を視聴するとマンガとは違った印象を抱くかもしれません。

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