アバンギャルドな芥川賞作家・西村賢太は愛すべき自由人

文豪と名高い大物作家というのは、誰しも浮世離れした生活を送っているもの。直木賞を受賞した色川武大氏にしても、芥川賞を受賞した吉行淳之介氏にしても、それぞれ賭博や女性関係において多くの伝説を残しています。そして現代の伝説的作家になりうるのが、『苦役列車』などの著者である西村賢太さんではないでしょうか。

西村賢太さんとは?

西村賢太さんは、1967年生まれの小説家。

父の逮捕からはじまる壮絶な人生を送り、自身も暴行事件での逮捕歴をもっています。

強烈な人柄が反映されたようなアバンギャルドな作品を多く発表し、すべての読者に広く愛されるような作家ではないものの、一部の層に熱狂的に愛され支持される作家です。

2004年…『けがれなき酒のへど』でデビュー
2007年…『暗渠の宿』で野間文芸新人賞
2011年…『苦役列車』で芥川賞

多くの作家が、学生業や本業のかたわら、ダブルワーク的に執筆した作品を新人賞へ投稿→デビュー、という道筋をたどる中、同人雑誌『煉瓦』への作品発表をきっかけにデビューしたというめずらしいタイプ。

とは言え、純文学的には非常に「正しい」道を辿っているようにも感じられます。

「どんな人なの?」が伝わる、えげつないエピソード・逸話

・自称するほどに、酒癖がとにかく悪い

・編集者と飲みながら罵詈雑言を浴びせ、すぐ干される

・芥川賞を受賞し、本人いわく「金と名誉を手に入れた」ものの不思議とモテないことに不満を抱いている

小説への愛をとりあえず感じるエピソード・逸話

・藤澤清造の作品について、最初はあまり好きではなかったらしい。しかし逮捕され留置場に入った経験から強く惹かれるようになり、没後弟子を勝手に名乗り始める

・月命日には、石川県にある清造の菩提寺・浄土宗西光寺に必ず墓参りに行っている

・2001年には自ら持ちかけ、「清造忌」を復活させる

・そして清造の墓のとなりに自分の生前墓を立てる

芥川龍之介賞の品格が分からなくなってくるエピソード・逸話

・芥川賞受賞発表の際、ノミネート作家が期待と不安のいりまじる表情でそれぞれ待機し、発表のときを待っている中、風俗に行こうとしていたところだった西村氏

・そしてそのまま受賞会見に連れていかれ「風俗いきたかった……」と名残惜しい思いをした

・芥川賞を受賞したことに対する自身へのご褒美は「デリヘルの3P」

・受賞後「(芥川賞より)もっと上の賞がほしかった」と発言

・芥川賞受賞に関し、上記の通りさまざまな伝説(主に下ネタ)を打ち出したことにより、同時受賞した朝吹真理子氏、直木賞を受賞した道尾秀介氏は日の目を浴びなくなってしまうという事件が勃発し、道尾氏は「西村賢太被害者の会」という特注たすきを作成し、イベントを実施した

「芥川賞」というひとつのきっかけをとっても、この通り。
さらに続くであろう作家人生の中で、新たな伝説的エピソードに期待したいですね。

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