角度を変えれば見方も変わる?徳川家康を演じた役者たち
今年は徳川家康の没後400年に当たります。「鳴くまで待とう」の精神で待ちに待って天下を取り、数百年の太平の世を築いた家康ですが、実に色々な俳優さんが、色々な形で演じてこられました。十人十色の徳川家康特集です。他の人物にも、言及してます。
『葵 徳川三代』(演:津川雅彦)
関ヶ原までは何だか腹の探り合いと言った感じで面白く感じなかったのですが、合戦以降は引き込まれました。太閤秀吉の死後からスタートするのですが、秀忠を蹴飛ばしたり、底の見えない「たぬきジジイ」の言葉を体現するかのような怪演ぶりでしたね。「たわけ~!」と怒鳴ったり、史実というか記録通りに爪を噛んでは、家臣に捨てさせたり、変な怖さと飄々とした印象が同居していて面白かったです。「家康死んだらつまらなくなるんじゃあ…」と心配したほどに。
二代目将軍となった秀忠との取っ組み合いの喧嘩も相当なものでした。
もう一人の主役が「黄門様」こと徳川光圀(中村梅雀さん)公。語り部として助さん格さん(の元ネタになった人)と一緒に、当時の決まり事や、始まったばかりの江戸幕府に関する豆知識なんかを教えてくれました。
『大奥第一章』(演:藤田まこと)
主人公が後の春日局なんですが、彼女の出自(明智光秀の重臣の娘)を知っても「気にすんな」と言ってのけたり、大物ゆえの優しさが見て取れました。お江与からは伯父の仇(の家臣の娘)という以上に憎まれてましたが、おふく。出産直後に子供持って行かれたら憎みますわな。
おふくが乳母として育ててきた竹千代(後の家光)が産みの母にすら疎まれて、弟国松(後の忠長)が次期将軍になるかもしれない…とわざわざ駿府に足を運んだふくに「でしゃばるな!」と一喝。その後、突如江戸城を訪れました。「大きくなったな」と自分の膝に竹千代を座らせ、手ずから饅頭を持たせ…「私も饅頭がほしゅうございます!」となった国松が駆け寄るや、豹変。「優しいおじいちゃん」から「天下人」「初代将軍」として豹変。「長幼の序」、つまり二度と戦乱の世を起こさぬように、長男が継ぐということを皆に知らしめた、有名なエピソードです。史実かどうかは分かりませんが。
『江~姫たちの戦国~』(演:北大路欣也)
このドラマあんまり見てなかったんで(それこそ最初の方と、最終話くらい)、そうそう語るようなこともないんですが、何かどうも「いい舅」といった感が…。津川版とは違い、まさに「時が来るまで待つ」感があったように思います。津川版が「動」なら北大路版は「静」というような。
このドラマはお江、つまり2代将軍秀忠の正室が主人公であり、「時代と戦に翻弄されながらも、平和のために生きた女性」がテーマのように思えたので、「待ち」の家康とある種だぶらせたのかもしれません。「あまり悪いイメージを持たせないように」しようとしてたように思えました。
同じ人物でも、たった3作品で何だか違った印象に見えますね。あとの二つは「わき役」という形でしたが、主役という観点では、もっと違った家康が見られるじゃもしれませんね。