日本発ハリウッドの「マットペインター」上杉裕世
「アメリカで修行しよう!」そんな気持ちで某長寿番組に出場し、見事優勝。その後アメリカ映画界で写真と見まがう「マットペイント」を描く男、上杉裕世氏。「マットペイントって何よ?」という方も含め、この人物についてご説明いたします!
「マットペイント」って?
映画などで使われる「背景画」です。実物かと思ったら、丸々絵だった、なんてこともあります。つまり、写真並みの柄画力を要求されるのです。
こちらも。
こちらも「絵」です。
上杉裕世プロフィール
1964年広島県出身。武蔵野美術大学卒業。1985年マットペインターに師事。87年アメリカに渡り、師であるロッコ・ジョフレの下スタジオに勤務。「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」をはじめ、数多くの有名映画の「マットペイント」を手掛ける。
出典: ja.wikipedia.org
「これ見たことある!!絵だったの!?」という方も多いのでは?役者さんの後ろにこうした絵を置くことで広がりを持たせることもあるのです。全部が全部CGってわけじゃないんです。しかもただ書いて置いて、というだけじゃないんです。場合によっては撮影現場で描かなきゃならないし、時間、陽光、何より角度等の関係もある。短時間で超写実的な絵をかくのです。考えるだけで気の遠くなるような作業です。
青春時代
映画祭のために訪れていたロッコ・ジョフレに「作品ができたら見てください」とかけあって住所を教えてもらう。数か月ごとに映像をレポートにまとめて送り、「学校を出たらアメリカに来なさい」とのお言葉をもらうに至った。
出典: www.4gamer.net
学生の頃は友人らと自主製作映画を撮っていた模様。文化祭などで放送するためですが、高校2年時のこの思い出は貴重なものとなったようです。様々な意味で、のちの人生を決定づけるきっかけになったんですね。そして、ロッコ氏に送る課題の中で「短時間で仕事をする」ということが身についたようです。
渡米費用は『仮装大賞』で
「アメリカで修行したい!」ということで、目を付けたのが『欽ちゃんの仮装大賞』。『カブト対クワガタ』という作品で一人で参加し、見事優勝。100万円を獲得しました。もちろん、「衣装」はお手製。「これ自分で作ったの?凄いねえ」と欽ちゃんも驚いていました。
さすがに武蔵野美術大学で学んだだけあって、艶といい形といい、本物のようです。「絶対アメリカに行くんだ!もっと勉強するんだ!」という執念すら感じます。
ユーモア
遊び心も忘れてはいません。よく見ないと、というかよく見ても分からないようなところに日本語でちょっとしたおふざけを入れてみたり。『所さんの笑ってコラえて』で初めてこの仕事、そして人を知り、「ここにこんなしかけがあるんですよ」というのを知った次第です。「有名ハリウッド映画でこんなお遊び入れるとは、世界に羽ばたく人は違う」と思ったものです。
この方は今もバリバリの現役です。無論、CGも使いますが、だからってクオリティは衰えません。手も抜きません。自主製作映画を楽しんで作り、仮装大賞で優勝しようと思う柔軟さを持った上杉氏の作品はこれからも増えていくことでしょう。