大分在住のユニット ザ・キャビンカンパニー

今夏、大分県はJR熱にうなされていました。「ななつ星in九州」の人気につづこうと、「或る列車」の運行を開始。その数か月前には大分駅の駅ビルが誕生し、それぞれのデザイン・設計を担当した水戸岡鋭治の「アート・ワンダーランド」が市内で開催されたのです。一連の締めくくりに用意されたのが、県内の駅に設置されたスタンプラリー。そのデザインを手がけた絵本作家ユニットの作品を見てみましょう。

水戸岡鋭治が魅せる 九州の鉄道車両

新幹線をはじめ、さまざまな特急が走る九州の鉄道。鉄道好きなら、「ゆふいんの森」「あそぼーい」「A列車でいこう」など、一度は乗車してみたい列車があるはずです。
大分県では、今夏、SWEET TRAIN「或る列車」が運行を開始し、その数か月前には大分駅がリニューアルオープンしました。なにかとJR関連のトピックが話題となったものです。
今、挙げた列車や駅のデザイン・設計を担当したのは、ドーンデザイン研究所の代表・水戸岡鋭治です。鉄道業界で重鎮クラスの人ですが、次々と新しいことにチャレンジし、その作品は観るものを楽しませてくれます。大分市立美術館で開催された「アート・ワンダーランド2015」は、列車に乗らなくとも、水戸岡デザインを存分に味わえる企画でした。
3か月に及ぶデスティネーションキャンペーンの締めくくりにと用意されたのが、県内の9か所の駅に設置されたスタンプラリー「ブンゴ・アート・トレジャー」なのです。

【ブンゴ・アート・トレジャー】スタンプラリー+αの楽しみとは?

絵本の最後の1ページ
裏面はポストカード仕様になっています。

「ブンゴ・アート・トレジャー」の開催期間は、7月上旬から11月下旬までで、今週末には終了してしまう企画です。
大分県内9か所の駅に設置されたスタンプを、専用シートの欄に4つ押すことで景品がもらえるというもの。専用シートを手にした時点で気づくのですが、このシートは絵本に見立てられていて、景品でもらえるのとは絵本の続き(最後の1ページ)なのです。しかも、9か所のうち、4か所(別府、由布院、臼杵、豊後高田)の駅には「特別なアート作品が展示されている」と書かれています。
わたし自身、やっと先週末に4つ目のスタンプを押すことができて、絵本の結末が読めました。訪れた駅は、由布院、大分、臼杵、鶴崎で、そのうちの2か所でアート作品を鑑賞しましたよ。鉄道にゆられている時間、駅でスタンプを押しつつ、作品を愉しんだ時間、どちらも有意義で、スタンプラリーのテーマ「列車に乗って、アートな宝さがしの旅に出かけよう」を実感しました。

絵本の内容を簡単に説明すると―

ぼうけんれっしゃ「ブンゴヤージュ号」がたからさがしにつれていきます。4つのたからもの(スタンプ欄に、カボスや南蛮船のスタンプを押します)をはっけんしたあと、トンネルにはいっていきます。
(こちらからは景品のポストカードに描かれた内容)トンネルをぬけたら、おうごんおんせんにとうちゃく。

大分在住の絵本作家ユニット「ザ・キャビンカンパニー」

「ブンゴ・アート・トレジャー」の専用シート、駅に展示された作品を手がけたのが、大分在住の絵本作家ユニット「ザ・キャビンカンパニー」です。1989年大分県生まれの阿部健太朗と吉岡紗希の二人組で、現在は廃校となった小学校をアトリエにして、さまざまな作品を制作しているそうです。
彼らのホームページを見ると、「えほん」「アート」「デザイン(イラストレーション作品)」に分けて、いくつかの作品が公開されています。共通しているのは、靄がかかったような、膜が張られているような色づかいです。懐かしささえ感じる不思議な作風が目を惹きます。
絵本『ほこほこのがっこう』では、見返しに「ほこほこのがっこう 校歌」の歌詞があります。よく見ると、「作詞・作曲 ほこほこふー」とありますが、楽譜は存在しません。
もしかしたら、読者が楽曲を探すかもしれない― キャビンカンパニーの2人がそう思ったかどうかは知りませんが、そんなコアな人たちのために、ホームページでは、登場人物(ほこりたち)が校歌を歌う映像をのっけています。絵本で会ったほこりたちが、立体となり、音楽にあわせて動く姿はとってもキュート。どちらとも味わってこそ、作品のファンといえるのではないでしょうか。

cabin8cabin.web.fc2.com

ザ・キャビンカンパニーの絵本

ザ・キャビンカンパニーは、『ほこほこのがっこう』以外の絵本も出版されています。

『ほこほこのがっこう』

発行所:小学館

『よるです』

発行所:偕成社

『だいおういかの いかたろう』

発行所:鈴木出版

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