「人間界」で修行するワガママ王子たち
王子。それは、一部の女性にある種のときめきを与える単語。しかし、その実「元首」の地位を継ぎ、人の上に立たねばならない大事な身。そのせいか、中には甘やかされてワガママ王子になってしまう人も…そして、王子がいるのは何も人間の世界だけではないのでした。なまじ超常的な力を持つ親の教育方針で人間界で修行する羽目になったワガママ王子たちをご紹介。
怪物の王子「怪物くん」(実写版『怪物くん』)
続いては、往年の名作漫画『怪物くん』から、怪物の王子さまをご紹介。
登場作実写版『怪物くん』紹介
実写版のみで語ります。父であるか物大王からその地位を譲られる就任式の日。「お前にはまだ無理」と言われて人間界に放り出されるのでした。まあ確かに食事がまずいとブチ切れるような王様は嫌ですよねえ…。王子のいい評判だけを聞いていたお供3人も「話違うじゃないか」と戦々恐々でしたし。被っている帽子は力を封じるそうで、念力も使えない、単なるワガママ小僧となってしまいます。「授業参観」に行った際、給食で出た好物のカレーは一人でバカバカ食べるわ、電車で老人に席を譲らないわ、サラダを「葉っぱじゃん!」と逆切れして食べようとしないわ…。100年以上生きててこのありさま。苦労している分、ウタコとヒロシの方がよっぽど大人です。
負のイメージを正に変える?プラス思考
怪物くんはワガママですが、「嘘」や「バカ親」などといった、一見すると負のイメージが付きまとうワードや、社会で煙たがられる態度をとる老人などを「最高」と賛美します。それは、彼が人間とは違う価値観の「怪物」だから、ではありません。画像は映画版のポスターですが、「嘘」のエピソードからは怪物くんの純粋さ、「バカ親」のエピソードからは多忙な父親と食事さえとれない怪物くんの寂しさが描かれます。何だかんだで、各エピソードで彼なりに何かを学び、そのうえで「最高」と言うのです。念力を使用する際は「魔王石」なるものを使わなければありませんが、これをヒロシが飲み込んだため、ヒロシがいないと使えない。「俺と博は友達だから、友達パワーだ!」などとのたまう、ある意味でプラス思考なキャラなのです。そして、人間界でわずかながら成長を遂げます。
人間のために戦う
怪物界、人間界の他に「悪魔会」が存在します。ここの王子、デモキンを復活させるため、デモリーナなる悪魔が人間の欲望を集めるのですが…「念息の源はヒロシとの友情ではなく、魔王石の力によるもの」と知って後も、怪物くんはヒロシらのため、復活したデモキンと戦うのでした。
修行の成果は?
龍之介はわき役なので完全なる成長を遂げる経緯は描かれませんでしたが、メイン回ではそれなりの「修行の成果」を見せているように思われます。ことに第3シーズン。龍王となるべき者が受ける試練に挑戦する回では、幼子としては過酷な選択を選ぼうとし、他者の力を借りたからと失格扱いになっても「自分だけじゃたどり着けなかった、しょうがない」と言ってのけるのです。怪物くんは「人間界に来て、俺もいろいろ勉強した」と笑顔で語っていました。映画では相変わらずワガママでしたが、それを受け売りとはいえ信念ととらえ、これからもワガママでい続けると宣言。そして、怪物ランドの面々を守るというワガママだって通す!と高らかに言って、怪物ランドの民から喝采を受けていました。いい王様になるため、二人とも精進を続けてほしいです。