クレインが描く、流麗な花々の世界を紹介
19世紀、その美しいイラストから挿絵画家として人気を誇ったウォルター・クレイン。同世代の耽美小説家・オスカーワイルドも賛美したと言う彼の絵本・『花の饗宴――花の仮面劇』より、素敵な作品の一部を紹介します。
ウォルター・クレインについて
ウォルター・クレイン(Walter Crane, 1845年8月15日 - 1915年3月14日)は、イギリスの芸術家である。絵画、イラストレーション、児童書、陶磁器タイル、その他多くの装飾芸術を制作し、アーツ・アンド・クラフツに深く関わった。
出典: ja.wikipedia.org
西洋の伝統的なモチーフを題材とした美しい彼の作品。けれども実は浮世絵の大ファンで、彼の作品の平面的なデザインは日本画のそれの影響であるとも言われています。
野ばら
サンシキヒルガオとスイカズラ
羽を空に広げ飛び立とうとするスイカズラと、去らんとする彼に絡みついて止めようとするサンシキヒルガオの彼女。ある種の切なさを覚える風景です。
ワスレナグサ
小川のほとりの茂みより、『私を忘れないで』と小さな声でなく彼女。慎ましやかさが切ないワンシーンです。
キンポウゲとキバナノクリンザクラ
輝くキンポウゲは、地面にキバナノクリンザクラ(=カウスリップ=牛が滑る)が密生する上に花を咲かせます。
サクラ
5月、美しい花の散り際を「仮面劇」と称しているこの作品。サクラの花を操る美青年の妖艶な笑みが印象的です。
オダマキ
イギリスでは「鳩のような」と言う意味も持つこのオダマキ。遠くの星(金星)からヴィーナスのいる車を引いているイメージを描いています。
まとめ
美しく幻想的な、花と妖精の交わりを描いたこの作品。共に書かれているクレインの文体もとても素敵です。花や妖精などの幻惑的な世界観に惹かれる方には特にオススメの1冊でした。