一味違う!?『少年ガンガン』超初期作品一部抜粋
『鋼の錬金術師』で知られるこの雑誌。元は「ガンガン行こうぜ!」というドラクエのセリフが元になっています。雑誌の創刊号を飾ったのは、何と皆若手の作家ばかり。マニアックと言えばマニアックな部類に入っていたのかもしれません。今とは少し雰囲気の違う「少年ガンガン」の初期作品を、一部抜粋してみました。
ドラクエ漫画『ロトの紋章』
エニックスならドラクエ!ということで制作された作品です。劇場という形で映像化、CDドラマ化もされています。ゲームソフトにおける「ドラクエⅢ」の勇者の子孫アルスを主人公に、スライムを始めお馴染みのモンスターや呪文が漫画で拝めるという、ドラクエ好きの読者にはたまらない一作だったことでしょう。
ドラクエ4コマ
同じく「ドラクエもの」ですが、こちらは様々な作家による4コマ漫画形式。非常にレベルが高いです。笑いの神が降りてきているかと思うほどに。
初のアニメ化作品『南国少年パプワ君』
『ドラクエ4コマ』で人気を得た、有名な柴田亜美氏の初連載作品です。ついでにいえば、この雑誌で初めてアニメになった作品でもあります。初期は「少年漫画風に」と意識して絵柄を変えていたため、今とは大分印象が違います。が、内容は柴田節がこれでもかと展開されています。途中からシリアスな展開となり、柴田氏の多作品とのつながりも示唆されるなど、「単なるギャグ漫画」でないことが伺えます。話す巨大カタツムリや足の生えた鯛がいる時点でただ事ではありませんが。
RPG風ファンタジーコメディ『魔法陣グルグル』
次いでアニメ化されたのが、こちら。童話風の、取りようによっては「あまりうまくない」絵柄ですが、独特の味がありました。ドラクエでよくある「コマンド」がコマの中に現れて説明したり、主人公が「勇者」と呼ばれていたりと、かなりドラクエを想起させる印象でした。が、「戦う巫女」の「戦闘用祭壇」だの「長い声の猫」だの、作品独自のキャラや持ち味はちゃんとありますし、何だかんだ主人公二人の成長も描かれています。作者の衛藤ヒロユキ氏は、先の『ドラクエ4コマ』で高レベルな作品を発表していました。
音楽で敵を倒す!?『ハーメルンのバイオリン弾き』
表紙の金髪の男性が持っているのはチェロじゃありません。バイオリンです。ついでに言うと、「音楽で身を立てる」という話ではなく、バトルものです。「どうやって戦うのか」といったら、このやたら大きなバイオリンで、です。別にこれで殴ったりするわけではありません。このバイオリンは単に大きいだけではなく、相手を操ったり、味方側の戦意を高揚させたり、時には心を癒したりといった「魔曲」と呼ばれる曲を奏でることができるのです。といっても、その「曲」は特別なものではなく、現実にあるクラシック音楽。作曲者がいつ、どういった心境でこの曲を作ったのかといった「音楽トリビア」まで勉強できます。主人公のハーメルはじめ、登場人物の多くが何らかの過去や思い運命を背負っていますが、ハーメルの「勇者」らしからぬドケチで自己中な性格と、しつこいくらい挿入されるギャグのおかげで緩和されており、戦闘シーンはかなり格好よく、楽しく読むことができます。が、泣けるところは泣けますし、個人的に続きが気になった初めての漫画でもあります。アニメ化もされましたが、シリアスすぎたせいか、時間帯のせいか、音楽に力を入れすぎたのか、打ち切りになってしまいました…。
ガンガンギャグの金字塔『突撃!パッパラ隊!』
「初期『ガンガン』のギャグ漫画」といったら、真っ先にこの作品を思い浮かべてしまいます。個性の強すぎるメンバーに、畳みかけるようなボケの嵐。今でいう「ツッコミが追い付かない」漫画です。けど、作中人物がセンスあふれる言い回しと過激などつきでつっこんでくれるからそこはご安心を。