異世界での現実世界の軍隊の強さはどのあたりが適当?「コップクラフト」が示したひとつの解答
自衛隊が異世界で無双するライトノベルがアニメ化され、各方面で良くも悪くも話題になっているようです。とはいえ、現代の軍隊が異世界に行ったら、どのぐらいの強さを発揮すれば説得力があるのでしょうか。鎧袖一触、無双しまくるもの興ざめですし、だからといって異世界の魔法に全く歯が立たないというのも「何だかなあ」という感じです。そのあたりの絶妙なバランスを見せてくれているのが、この「コップクラフト」です。
最初に断っておきますが、筆者はミリタリーについては素人です。いろいろと誤った認識もあると思いますので、ご了承ください。
現代の軍隊は異世界でどこまで通用するのか
自衛隊が異世界で戦闘を繰り広げ、強さを発揮するというライトノベルがアニメ化され、いろいろと話題になっているようです。筆者はその作品については現時点では未読ですのでこれ以上は触れませんが、現代の軍隊の強さをどのレベルに置いたら物語に説得力が出るのかは、なかなか答えの出ない問題ではあります。その「模範解答」のひとつを示しているのが「コップクラフト」(作・賀東招二、イラスト・村田蓮爾)です。
強いことは強いのだが……
この「コップクラフト」では、主人公のマトバが元軍人で、異世界での戦争を経験してきたという設定になっています。実際、現代の軍隊は異世界から簡単には攻め込ませないレベルの力は備えています。しかし、異世界に攻め込んだときでも有利なのでしょうか。
異世界は魔法を使える住民にとっては「ホームグラウンド」で、魔法を使うのに都合のいい条件がそろっています。付け加えれば、いくら現代の兵器が強力だといっても補給の問題がありますので(これは「戦国自衛隊」のころからの共通の問題点でもあります)、鎧袖一触というわけにはいきません。結果、マトバたちの軍隊は敗退してしまいます。
強いことは強いが、攻め込んだら不利というバランスは「模範解答」のひとつといっていいのではないでしょうか。さすがは「フルメタル・パニック」の作者だけはあります。
実は刑事ものだったりする
とはいえ、この「コップクラフト」は軍隊モノではありません。マトバともうひとりの主人公、ティラナのコンビを軸にした刑事ものなのです。上に書いた戦争の傷跡をテーマにしたシリアスな事件や、おかしな魔法の道具が引き起こすコミカルな事件などを、2人の刑事を中心にして解決していく話です。全体的な雰囲気はアメリカの刑事ドラマのそれですので、ミリタリーが好きな人よりも刑事ドラマが好きな人にオススメできる作品です。