まるで女性的な柔和さを醸し出す“葉祥明アート”の世界
「葉祥明」葉 祥明(よう しょうめい、1946年7月7日 - )は、熊本県熊本市出身の日本の絵本作家。本名、葉山祥明。九州学院高等学校[1]、立教大学経済学部、セツ・モードセミナー卒業後、ニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグに留学、油絵を学ぶ。祖父の代に日本へ渡来した中国人の家系に出自を持つ。自身は30代で日本国籍となった。実兄の葉祥栄は建築家。
葉祥明の描くイラストに出逢ったのは高校生のとき。当時、殺伐とした気分が晴れないまま毎日を送っていた自分の荒れた心が、突然に癒されてしまった記憶が蘇ります。
ふと立ち寄った書店の絵ハガキコーナーにそれは置かれていて、しばらくその場から離れられなくなってしまいました。
シンプルで色使いも単調な葉祥明のイラストは黄色の世界であったり、ピンクの世界であったり、青の世界であったりした。そのシンプルさが複雑な気分を瞬間で紛らわせてしまう絶大な効果をもたらせていたのかも知れません。
「ほら、世の中はそんなに悪くはないよ…」って言っているような絵。または、「一色だけでもこんなに素敵な世界が表現できるでしょう…」と言わんばかりの“見つめ直すことへの価値”を示唆しながら、何とも柔らかな優しさが伝わって、安らぎを運んできてくれる絵との出逢いがありました。
葉祥明のイラストを真似て描こうと、油絵の具を買ってきた遠い昔が懐かしい。とうとう描けはしなかったけど、違う自分なりの世界が描けるようになって、やがてプロになり、デザイン業界の無理難題の要望に応えて多様なイラストを描いている内に、イラストを描くこと自体に何の喜びも見出せなくなってしまった頃、偶然、久し振りに葉祥明のイラストを見る機会があって、幾十年経った今、あの頃のように荒れた心が癒されていくのを感じて、改めて自分のイラストへの姿勢を見つめ直す機会が訪れています。