リアルで美しい、深堀隆介氏の金魚アートの世界

アクリル樹脂を使った金魚アート作品で有名な、深堀隆介氏。10年前に、特に何も気にせず自宅で飼っていた金魚の美しさに気づいた時から、彼は金魚に拘るようになりました。現在も作品のモチーフは金魚だけ。驚くほどリアルで繊細な、深堀隆介氏のアクリルアートの世界を見てみませんか。

深堀隆介氏の金魚樹脂アートってどんな作品?

美術作家の深堀隆介氏の名を一躍世に知らしめた作品、「アクリル樹脂アート」。
元々あった技法では無く、深堀隆介氏自身が編み出し、約12年近く掛けて練り上げていった技法です。
一見立体物を閉じ込めたように見えるこの技法は、何層にも重なるアクリル樹脂の一層一層に、丁寧に色を重ねていくことで立体に見せるという、気の遠くなるような技法なのです。
何年もの間、研究に研究を重ねた深堀隆介氏だからこそ作り出せる幻想的な作品。
金魚に馴染み深い日本人だけでなく、海外の人々の心も鷲掴みにしています。

繊細で優美。いまにも金魚が泳ぎだしそうな躍動感。

代表作である、「金魚酒」。流し込んだアクリル樹脂に色を塗り、その上に再びアクリル樹脂を流し込み、色を塗り、流し込み、色を塗り…。
時間を掛け、何層にも重ねた絶妙な色合いが、この躍動感を生み出しているのです。

金魚酒シリーズのひとつである、「出目金」。艶やかな黒からのぞく紅一点が、目を惹きます。

箱庭的な美しさの「金魚の杜」。紅い金魚が宙に浮き、森の中を泳いでいるようです。

夏の金魚すくいを思い出させる、「初出荷」。
パンパンに膨らんだビニールの中をぐるぐる泳ぐ金魚の姿、どこかで見た事あるような気がしませんか。

金魚酒シリーズ、「明霧」。透き通るような美しさに、きらきら光る鱗のリアルさが、並々ならぬ金魚愛を感じさせます。

掌の上で踊る、「金魚の掌(たなごころ)」。狭く歪んだ器の中に、ぽつねんと浮かぶ優美な金魚。
どこか寂しげな姿に、胸を突かれます。

おわりに

深堀隆介氏が作り出した美しい世界、如何でしたか?
単純なリアルさに驚くことももちろんですが、本物の金魚に見えるような色の選び方、揺れる水草、躍動感あふれる泳ぎ方、金魚を引き立てる器の選び方…。
全ての作品から金魚に対する愛が伝わってきます。
美しさだけでなく、じんわりと伝わってくるノスタルジックな雰囲気を感じることが出来るのは、私達が日本人だからでは無いでしょうか。
氏の樹脂作品以外の金魚アートも、金魚の瑞々しさが存分に伝わってくる作品ばかりです。
深堀隆介氏の作品を通じて、日本の「和」について一度振り返ってみるのも良いかもしれませんね。

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