読書の秋に読みたい、心に沁みる小説3選
枯葉舞う公園のベンチ、柔らかい陽射しの注ぐカフェのテラス席、本特有の乾いた匂いが漂う図書館。
読書の秋がもうすぐやってきますね。読書を楽しめるお気に入りの場所が、人それぞれにあるのではないでしょうか。そんな場所で読む本だからこそ、厳選した本を選びたいですよね。
今回は秋にぴったりの、心に沁み渡る小説を3つご紹介したいと思います。
「小暮写真館」 宮部みゆき
宮部みゆきで「小暮写真館」です。
宮部みゆきと言えばミステリーという印象が強いと思うのですが、この作品もその例に漏れずミステリーものです。しかし、ミステリーはミステリーでもその質が違います。「模倣犯」や「火車」などの重厚でとてつもない深度をほこる小説と違い、当作品は身近に起こる謎を題材にしています。その謎は、解けばじんわりと溶けるように温かみが胸に広がる類のものです。
読みながら、きっと幸せな気分になって、表紙のように青い空を見上げたくなること間違いなしの一作です。
「裏庭」 梨木果歩
梨木果歩と聞いて首を傾げる人は、「西の魔女が死んだ」という作品を書いた人、と言えば分かってくれるのではないでしょうか。
2作目はその梨木果歩で「裏庭」です。
著者はどこにでもありそうな日常を文字という研磨剤で磨いて、一瞬のきらめきをそこに見出すような作家なのですが、この作品は日常という枠を飛び越えて、ファンタジーの世界へと私たちを導きます。
しかしそこで主人公の女の子を待ち受けているのは、まるで現実と地続きになっているかのような試練だった。
本当の自分を見つけ、小説を読み終わる頃には、彼女は1回りも2回りも大きくなって見えるはずです。
「アルジャーノンに花束を」 ダニエル・キイス
ラストはもはや説明不要なほどの名作、ダニエル・キイスで「アルジャーノンに花束を」です。
私はこの作品ほど「人間」を描いた作品を知りません。文字だけでこんなにも人間というものを、人間の成長というものを表現できるのかと驚かされ、またその描写の精緻さに感動もしました。
内容は知恵遅れの青年が、新薬を投与され、天才への道を歩む、というものです。
1ページ1ページ、じっくりと味わいながら読んでほしい一冊です。読了した時、あなたはこの本を思わず胸に抱きたくなるほどの切なさ、そして幸福感に包まれているはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
読書の秋、楽しめそうですか?
ぜひともお気に入りの本を見つけて、素敵な秋にしましょう。