A-BOUT!(朝桐大活躍編・SURF)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『A-BOUT!(朝桐大活躍編・SURF)』とは、市川マサが『週刊少年マガジン』で連載していた漫画である。『A-BOUT!』と『A-BOUT!!~朝桐大活躍編~』では、主人公・朝桐真之輔が仲間と共に繰り広げる校内の派閥争いや他校との抗争を描いている。主人公の約10年後を描いた『A-BOUT!!SURF』が、2021年より『イブニング』にて連載。29歳となった朝桐がひょんなことから『民宿おだまき』で働くことになり、それをきっかけにサーフィンの魅力に憑りつかれていく様子が描かれている。

『A-BOUT!(朝桐大活躍編・SURF)』の概要

『A-BOUT!』と『A-BOUT!!朝桐大活躍編』は市川マサが2009年から2014年まで『週間少年マガジン』で連載していた不良漫画である。不良少年たちの校内・外での抗争をメインに描いているが、主人公が『バカ』でギャグ要素も混ざっているので、バカ不良漫画と称されることもある。『A-BOUT!!SURF』は同じく市川マサが2021年から『イブニング』に連載している漫画で前作から約10年後の世界を描いている。

『A-BOUT!』は光嶺の転校生である1年生の主人公・朝桐真之輔(あさぎりしんのすけ)とその仲間たちが校内の派閥争いや近隣のヤンキーチームとの抗争を描いている。『A-BOUT!!朝桐大活躍編』は2年生になった朝桐たちの活躍を中心に物語が展開される。1年生の時に戦った最強の3年生である樋口(ひぐち)との戦い以来、燃え尽き症候群となっていたが、朝桐に恨みを持つ依永庸平(よりながようへい)との出会いによって、かつての闘志を取り戻す。依永との過去の清算、依永が恐れる奥津暁(おくつあきら)達との戦い、光嶺を潰すことを企む光嶺討伐隊との勝負、朝桐のライバルである東郷滋(とうごうしげる)とのタイマンを通して、周囲の人間や自分自身が抱える問題・葛藤を喧嘩で解決していく。『A-BOUT!!SURF』は、29歳になった朝桐は、光嶺での生活を共にした瀬下聖矢(せしたせいや)、砂原竜介(すなはらりゅうすけ)、柾木千春(まさきちはる)がそれぞれ勤める職場で働くが、いずれもクビになり無職となっていた。ひょんなことから海沿いにある『民宿おだまき』で働き始めたことをきっかけにサーフィンにハマる。日本で有数のサーファーになった東郷も登場する。

『A-BOUT!(朝桐大活躍編・SURF)』のあらすじ・ストーリー

『A-BOUT!』のあらすじ・ストーリー

朝桐軍団VS樋口派

光嶺の1年生のクラスに転校してきた主人公・朝桐真之輔(あさぎりしんのすけ)は、入学初日にOBを倒したことにより、一躍有名人となった。樋口(ひぐち)が頭を務める光嶺の最大派閥である樋口派の1年生を仕切る砂原竜介(すなはらりゅうすけ)は、そんな朝桐に興味を持つのだった。

時が変わり、朝桐は1年生の柾木千春(まさきちはる)が数十人に囲まれている状況に遭遇する。朝桐は同じクラスの瀬下聖矢(せしたせいや)から柾木は砂原など多くの人間から恨まれていることを耳にしていた。ピンチに陥る柾木を朝桐が救出したことをきっかけに、瀬下を含む3人はつるむようになった。砂原はそんな朝桐を仲間に誘うが断られる。これをきっかけに砂原軍団と朝桐たちの戦いが始まる。戦いの最中、朝桐は砂原の手下の一人が運転する車にひかれて、救急車で運ばれてしまう。柾木と瀬下は二人で善戦をするが、砂原を前に敗北する。救急車で運ばれたはずの朝桐が現れ、砂原との戦いに勝利した。この戦いの後、砂原は自分の軍団を解散し樋口派を抜けて、朝桐たちと共に行動をすることになった。

朝桐がきっかけで砂原以外にも離反者が出始めた樋口派。樋口派の2年生の幹部らは、朝桐たちへの報復を実行する。道端を歩いている砂原と柾木は、2年生の幹部一人と元砂原軍団の残党に襲撃される。砂原はかつての仲間たちを、柾木は2年生の幹部にそれぞれ勝利する。時を同じくして、朝桐は東郷滋(とうごうしげる)という男に出会う。お互い名前や素性を明かすことはなかったが、共に通じるものがあり、打ち解けた。しかし東郷は樋口派の2年生で、樋口に一目置かれるほどの強者だった。長幼の序を重んじる人間で、1年生ながら樋口派に歯向かう朝桐たちを粛清しようと考えていた。

柾木と砂原を倒すことができなかった樋口派の2年生の幹部たちは、瀬下を呼び出し、朝桐たちを売るよう命じた。しかし瀬下はそれに屈することなく断り、病院送りにされる。瀬下の姿を見た朝桐は怒りを覚え、樋口派の2年生幹部たちのもとへ敵を討つために向かう。その情報を聞き、柾木や砂原を始めとする朝桐の仲間も向かうのだった。樋口派との戦いは朝桐たちが優位に進んでいた。そこに東郷が登場する。朝桐と東郷はお互いの存在に驚いたが、双方のプライドを賭けて一騎打ちで戦うことになる。紙一重の差で朝桐が勝利し、この戦いは朝桐たちの勝利で終わった。

LSD&1年生最強決定戦

東郷を倒したことで朝桐はさらに有名となり、多くのヤンキーから狙われる立場となっていた。そんな中、他校の友人たちがLSDという数多くの支部を持つ半グレ集団に襲撃される事件が勃発する。主犯は元光嶺の降井拓也(ふるいたくや)という男で、一つの支部を任されている人間だった。光嶺を潰すことを目的に動いており、まず始めに最近有名になった朝桐たちを倒すことを考えていた。友人たちの敵を討つために朝桐たちは降井を始めとするLSDの面々と光嶺を舞台に戦うことになる。しかし数の多さに劣勢の状態が続き、ピンチに陥っていた。そこに樋口と樋口派の面々が登場する。樋口派でLSDを潰そうとするが、朝桐が自分たちでケリをつけるから手出しをしないよう告げる。樋口は了承し、朝桐と降井のタイマンが始まり、朝桐が勝利する。降井が倒されたことでLSDは総崩れとなり、一件落着となった。朝桐の喧嘩を目の当たりにした樋口は朝桐を認め始めていた。

LSDとの抗争で活躍をした朝桐は近隣のヤンキーだけでなく、光嶺内でも多くの人間から注目される存在となっていた。そんな中、朝桐は樋口派と童門醍醐 (どうもん だいご)が頭を務める童門派のそれぞれの1年トップに道端で狙われ臨戦態勢となっていた。しかし警察が通りかかり、勝負は持ち越しとなる。日を改めて廃工場で三人で勝負の続きをしようとしたところに噂を聞きつけた砂原や柾木をはじめとする1年生の強者共が集まり、急遽1年生最強決定戦が始まる。途中まで勝ち残った人間は互いの消耗を考慮し、1年生最強決定戦を仕切り直すことにした。

後日1年生最強決定戦の続きを始める場所に、それを妨害しようとLSDの降井達以外の支部の人間と、LSDと結託した光嶺の3年生・吉岡(よしおか)を始めとする吉岡派の面々が登場。ピンチに陥る1年生たちだったが、そこに童門と光嶺3年生の天知多聞 (あまち たもん)が登場してことを収めた。再び始まった1年生最強決定戦は、朝桐と砂原が決勝で戦い、朝桐が1年生最強の座を手に入れる。

チームイーター編

柾木と砂原は中学時代に北条(ほうじょう)という男の舎弟だった。北条は光嶺の人間だったが、当時同じ学年だった樋口たちに敗れて、この街を去っていた。そんな北条がこの街に戻ってきているという噂が流れる。一方朝桐はひょんなことから、北条と遭遇して仲良くなっていた。その後、柾木と砂原も北条と再会する。

時が変わり、LSDを始めとする近隣のヤンキーチームが「チームイーター」と名乗る集団に次々と潰されていた。リーダーの特徴が北条と一致することから、柾木と砂原は真相を確かめるために、北条の元へと向かう。北条は自分が「チームイーター」のリーダーであることを認め、樋口と光嶺を潰すために、この街に戻ってきたことを告げた。柾木は北条側につくこと、砂原は光嶺の人間として、北条と敵対することを、それぞれ決心する。

北条の目的を知った朝桐は、北条との過去の出来事を聞こうと樋口に会う。そこに北条の相棒である久葉有八 (きゅうば ゆうや)と、その仲間たちが現れて、二人を潰しにかかる。朝桐はなんとか、この戦いを切り抜けたが、樋口は久葉の持つナイフに刺され、重傷を負い入院してしまう。同じ頃、砂原は北条の命令で柾木とタイマンをさせられた後に、北条の手で倒されていた。

その後、再会した朝桐と砂原は、共に「チームイーター」と戦うことを腹に決める。樋口の状況を知った他の1年生たち、東郷を始めとする樋口派、童門や天知ら3年も動き出していた。朝桐は北条に連絡を入れて宣戦布告をして、北条のもとへと向かう。この戦いは、北条を朝桐が、久葉を病院から抜け出した樋口が倒したことで、光嶺側の勝利で終止符が打たれた。柾木は朝桐に詫びを入れることで再び仲間として行動を共にすることとなり、北条は街を去った。

童門派VS樋口派

「チームイーター」との一件で、朝桐の株はさらに上がっており、同じ光嶺の人間だけでなく、近隣の多くのヤンキーからも狙われる立場となっていた。そんな中、童門派の2年生が覆面を被った謎の集団に襲撃されて、重傷を負う事件が発生する。これは吉岡派の2年生が樋口派と童門派の全面戦争を勃発させようと仕組んだ罠だった。吉岡派の思惑通り、童門派はこの襲撃を樋口派のものと断定したことで、全面戦争へと突入する。童門派と樋口派の対立が激しくなる中、入院していたはずの樋口が光嶺に現れる。樋口は抗争を童門とのタイマンすることで、終わらせようと考えた。そのため樋口は童門以外の人間に対して、全員校舎から出るように命令をする。しかし樋口を倒す機会を伺っていた朝桐は校舎へと入っていく。

校舎内で朝桐は同じく樋口を倒そうとする吉岡と遭遇したことで、戦うこととなる。樋口を待つ童門の前には天知が現れた。天知は入学した時から自分と童門のどちらが強いかをはっきりさせたいと考えていたので、この場で戦うことを決めた。こうして朝桐対吉岡、童門対天知の戦いが始まる。激しい戦いを制したのは朝桐と童門だった。激闘を制した朝桐は、この戦いの負けを認めた吉岡に連れられて、樋口のいる屋上へと向かう。朝桐と吉岡が屋上に着いたときには、既に樋口と天知に勝った童門のタイマンが始まっていた。派閥の行方を左右する二人の戦いは、激闘の末に樋口が勝利した。

童門派と樋口派の抗争は終わったが、朝桐は樋口と戦おうとしていた。1年生が3年生とタイマンをすることは、光峰の歴史上ありえないため、校舎にいる他の生徒たちは反対をしていた。だが朝桐は無理くりでも対決しようとした。最後は樋口が対決を了承したことで二人の戦いが始まる。朝桐は周囲を驚かせるほど樋口を追い詰めたが、最後は樋口の前に敗北を喫した。

『A-BOUT!!朝桐大活躍編」のあらすじ・ストーリー

依永編

主人公の朝桐が当時最強の3年生だった樋口との戦いで互角の勝負を演じた事件は、周りから”伝説”と呼ばれていた。そんな朝桐だが、樋口と戦った後の数ヶ月間は、燃え尽き症候群となり、これまでの強さが嘘のような状態になっていた。

新学期を迎え、1年生たちは朝桐が同じ教室にいることに驚く。朝桐は留年したのだった。そんな中、朝桐に1年生の依永庸平(よりながようへい)が襲い掛かる。依永は朝桐に個人的な恨みを持っており、その復讐をするために光嶺に入学していた。二人が教室で戦っている最中に、朝桐を狙う1年生の強者が続々と現れて、自ら名乗りを上げるために1年生軍団による朝桐狩りが始まった。朝桐は奇襲に戸惑いながらも、トイレで遭遇した1年生の阿部泰治(あべやすはる)を倒し、この戦いを受けることを宣言した。戦いの感覚を取り戻していた朝桐は、1年生たちの攻撃をかわし再び依永と対峙する。戦いの最中、朝桐は2年前の依永との出会いを思い出していた。依永は将来が有望視されていた野球選手だったが、朝桐の喧嘩に巻き込まれたせいで逮捕され、少年院に入ってしまった。有名校からのスカウトも白紙になり、新聞に載る大事件となった。これが理由で依永は朝桐を恨んでおり、この2年間は復讐をするために生きてきた。朝桐は一切謝罪することはなく、多少苦戦はしたものの依永を倒した。同じ頃、柾木と砂原は光嶺の校門前に立つ依永を探す一人の青年と出会う。この青年は中学時代の依永の友人で同じ野球部に所属しており、朝桐との過去を知る人物だった。柾木と砂原は、その人物から朝桐と依永との間にあった過去を知る。そして少年院の中で、朝桐を見つけ出すために、悪い人間達と知り合いになり、そのうちの一人を怒らせたことを聞くのだった。

時が変わり、少年院上がりの奥津暁(おくつあきら)という男が依永を探すために、光嶺に侵入してきた。依永と奥津は少年院で知り合い、依永は出所後に奥津の下へ就くはずだったが、それを裏切ったのだった。部外者は追い出すという光嶺の掟に従い、依永と複数の光嶺の人間が奥津を倒そうと試みるが全く歯が立たなかった。そこに光嶺の3年生である東郷滋(とうごうしげる)が登場して奥津と対峙する。奥津の仲間である伊吹圭佑(いぶきけいすけ)と上村喜紀(うえむらよしのり)も参戦をするが、その場は一旦引くこととなった。奥津に恐怖を感じている依永は奥津達と共に光嶺を後にした。校外にいた朝桐はこのことを聞き、光嶺に戻る途中で伊吹と遭遇して戦うことになる。朝桐は伊吹に勝利して、その戦いを見ていた阿部が朝桐の強さに惚れて舎弟となった。

伊吹が朝桐に倒されたことを知った奥津は朝桐を標的にして、見せしめに阿部を襲撃した。光嶺の看板・プライドにかけて東郷は犯人である奥津達を探すが、既に朝桐は目の前で対峙しており、三度依永と戦うことになっていた。朝桐と喧嘩をする中で依永は、プライドを奪われたことが恨みの根源であることに気付き、とことん殴り合ったことで気持ちが次第に晴れていった。自分の気持ちに整理がついた依永は、朝桐と共に奥津を倒しに向かうが苦戦を強いられる。そこに1年生軍団が登場して奥津と戦うが、歯が立たなかった。しびれを切らした奥津は持っていた拳銃を周囲に向ける。1年生軍団は動揺するが、朝桐と依永はひるまず立ち向かい、朝桐が奥津を倒す。奥津が倒されたことに驚いた上村は、その場から逃げ出そうとするが、そこを通りかかった東郷の右ハイキックで沈んだ。一件落着となっただけでなく、朝桐が留年していないことも判明。無事に2年生へと進級したのだった。

光嶺討伐隊との5番勝負編

お金に困っていた朝桐は阿部の紹介でお金持ちの1年生である通称”マネー”と言われている金子信長(かねこのぶなが)に近づいていた。舎弟を賭けた勝負を行い決着は付かなかったが、マネーは朝桐の規格外の振る舞いに衝撃を受け、これをきっかけに行動を共にするようになる。その頃、瀬下や3年生達は、毎年の風物詩となっている他校との抗争が起きないことに違和感を覚えていた。蓮上高校を中心に結成された「光嶺討伐隊」によって、光嶺との抗争を企む周辺校は次々と潰されていたのだ。

時が経ち、朝桐は偶然公園で光峰討伐隊のトップであるモモと呼ばれている金子統昭(かねこのぶあき)と、その仲間たちと出会う。そこで始まった他校との抗争に、朝桐も巻き込まれ勝利に貢献する。お互いに打ち解けた後に、朝桐はモモに自分が光嶺であることを伝えるが、光嶺の人間らしくないという理由で信じてもらえなかった。その夜、光嶺の3年生の派閥のトップ5人が学校の屋上で蓮上高校の話をしている時に、宣戦布告をしにモモがヘリコプターで登場した。5人は光嶺の鉄の掟に従いモモを倒し、学校から追い出した。モモは重傷となり病院送りになったが、奇跡的に復活を遂げた。その直後に光嶺に落とした自分の携帯に電話を掛け、電話に出た東郷にそれぞれのトップ5が1対1で戦う5番勝負で決着をつけようと提案した。モモの前にヘリコプターで現れた朝桐が勝負を受けて立つと返答する。東郷も、朝桐に決定権は無いと言いつつも、面白そうという理由で勝負を受けることを承諾した。

モモは朝桐が本当に光嶺の人間であることに驚くものの、朝桐の「二人で勝負する」という提案を快諾し、喧嘩を始める。しかし瀬下とマネーがバイクにて朝桐をさらい、勝負は強制的に中断した。朝桐はマネーからモモが自分の実の兄であることと喧嘩の天才であることを告げられる。朝桐自身、あのまま続けていたら、自分が負けていたかもと考えるくらい、モモの強さを肌で感じていた。そしてマネーは光嶺の3年生と兄達が本気でぶつかり合えば、死人が出る恐れがあるから、兄弟の絆を信じて自分一人でモモを止めに行くと宣言する。その場を後にした朝桐は道端で東郷と出会う。東郷が朝桐に、5番勝負は3年生が光嶺の看板とプライドを賭けて戦うから、手出しをしないように忠告する。もし手出しをするのであれば、ただでは済まさないと釘を刺す。朝桐は一旦は了承をした。マネーは蓮上高校に単身で乗り込みモモの説得を試みるが、全く振り向いてもらえず、モモの仲間によって病院送りにされる。これを知った朝桐は、怒りを抑えられず敵を打つために単独でモモのところへ向かった。

朝桐は蓮上高校に乗り込みモモと対峙する。東郷も蓮上高校に乗り込み、5番勝負に出るうちの4人を倒す。最後の一人であるモモの場所に辿り着いた東郷は、そこにいた朝桐の姿を目にすると、「予想はしていたがガッカリした」と捨て台詞を吐き、その場を後にした。朝桐が東郷の方を向いた瞬間にモモが殴りかかるが、朝桐はそれを交わしてカウンター2発を決めた。勝負が決まったように見えたが、モモは再び立ち上がる。そこにマネーが登場する。マネーは病院のベッドで兄弟の絆なんて無かったと塞ぎ込んでいた。しかし依永に鼓舞され、兄弟の絆をもう一度確かめるためにモモの前に戻ってきたのだ。マネーは兄であるモモに認められたくて、光嶺に入った。でもモモはマネーは自分のようにはなれないから、違う世界で生きるべきだと考えていた。マネーは朝桐にモモと戦わせて欲しいと伝えて、兄弟喧嘩が始まった。終始モモが圧倒するが、マネーは何度も立ち上がり向かう。マネーを一度病院送りにすれば恐怖のあまり、不良の世界には戻ってこないだろうとモモは考えていた。でも再び自分の前に戻り、何度倒しても立ち上がるマネーを目にして、光嶺や朝桐の存在がマネーを変えたことを感じたのだった。マネーが倒れ、再度朝桐とモモの戦いが始まるが、朝桐のパンチで勝負が決まる。光嶺と蓮上高等学校の5番勝負は光嶺が圧倒して終わりを迎えた。

朝桐VS東郷編

蓮上高校との5番勝負の一件で光嶺の看板・プライドを傷つけた朝桐に制裁を加えるために、東郷は朝桐を呼び出していた。朝桐もその出来事が終わってから、東郷が自分と口を聞かなくなったことへの不満があった。朝桐にとって東郷は一度拳を交えた仲であり、良き先輩であり、友達と思っていた。そんな大切な存在から無視されることは朝桐にとって、この上なく不愉快だった。

時同じくして、砂原は1年の時に朝桐を車で轢いたことにより、退学した松下と出会う。松下は悪い仲間たちを引き連れており、砂原を仲間に誘うが断られる。松下は自分が知っている砂原と変わってしまったことへの失望と、変えた張本人である朝桐に憎悪の気持ちを抱く。松下は砂原を味方にできないと知った仲間たちから裏切りに合う。その腹いせに松下は持っていた銃でリーダーの男の耳を撃ってしまう。そのまま松下は朝桐の元へ向かうのだった。

そして朝桐と東郷は周りの仲間が見守るなかで喧嘩を始める。互角の戦いを繰り広げているところに松下が乱入。朝桐に向けて発砲するが、弾は東郷の胸部に当たってしまう。周囲が動揺する中、朝桐と柾木が松下に立ち向かうが、二人とも銃で撃たれて倒れる。松下の仲間たちが追いかけてきて、リーダーの男が松下に拳銃を向けて動きを止める。緊迫した雰囲気の中、砂原が現れる。リーダーの男と松下の二人を倒して、場を収めた。

この事件の1週間後、銃で撃たれた朝桐、東郷、柾木の3人は無事回復しており、再び朝桐と東郷が戦いを始める場面で、物語は終了する。

『A-BOUT! SURF』のあらすじ・ストーリー

『A-BOUT!! 〜朝桐大活躍編〜』から約10年後、朝桐は砂原の建築デザイン事務所や柾木のバー、瀬下が勤める工場で働くものの、いずれもクビにされ、無職であった。海辺にいた朝桐は、溺れている少年を発見する。泳いで助けに向かうものの、自分も溺れてしまう。そこにサーフィンをしていた緒環波平とIRUKAが現れて、この二人に朝桐と少年は救出される。IRUKAは、溺れている少年を救出しようとして、高い波を500m近く泳いだ朝桐に驚いていた。会話が弾んで打ち解けたこともあり、朝桐はIRUKAが働いている『民宿おだまき』に招待される。

そこに波平がおり、その民宿は波平が運営していることを知る。波平やIRUKA達と土鍋を囲んで夕食をすることになったが、友人たちの職場をクビになったのは朝桐自身の責任と言われたことに腹が立ち、土鍋をひっくり返して壊してしまう。その土鍋は50万程する高級品のため弁償を求められるが、所持金が僅かしかなく支払いができなかった。そこでIRUKAの父親に土鍋代を民宿で働いて返すよう命じられ従った。『民宿おだまき』で働き始めたことをきっかけに、朝桐はサーフィンの魅力に徐々に取りつかれていく。

『A-BOUT!(朝桐大活躍編・SURF)』の登場人物・キャラクター

主要人物

朝桐真之輔(あさぎりしんのすけ)

kinakokina2
kinakokina2
@kinakokina2

目次 - Contents