ロマン主義的復讐劇・『嵐が丘』

激情的な性格のキャラクターに愛憎、復讐がからめられた"まさにロマン主義的"と言える物語の『嵐が丘』。イギリス文学の代表作品的地位を占めている名作です。

あらすじ・ストーリー

物語は病気療養で嵐が丘に来た何も知らない紳士に語る、〈嵐が丘に秘められし凄惨な過去〉を中心に展開されます。

〈嵐が丘の当主アーンショー氏はある日突然一人の孤児を連れてくる。その孤児はアーンショー氏の養子となり、ヒースクリフと名付けられ、実子同様に遇された。しかし氏の実子で長男のヒンドリーはそれを快く思わず、彼(ヒースクリフ)に対して何かと辛く当たる。その一方でヒースクリフは長女のキャサリンと親しくなり、淡い想いをはぐくんでゆく。〉

〈時を経てアーンショー氏が亡くなり、嵐が丘がヒンドリーへ受け継がれる。好機とばかりにヒンドリーはヒースクリフを屋敷から追い出し、さらに奴隷のように酷使する。〉

〈心が荒みつつも嫌がらせに耐えるヒースクリフだが、キャサリンと共に過ごす時間を心の支えに生きていた。しかし年頃のキャサリンは、やがて隣家の華やかさに惹かれてその当主・エドガー・リントンと結婚してしまう。裏切りを感じたヒースクリフはそのまま行方をくらます。〉

〈3年後、立派な紳士となり戻ってきたヒースクリフは復讐を開始する。まず想い人の夫・エドガーの妹イザべラを誘惑し、彼女と結婚、そして虐待する。

次に自分を苛んだヒンドリーを財力で屈服させて嵐が丘を自分の所有物とし、ヒンドリーの子も虐待する。一方キャサリンはエドガーとの間に一人娘を産むが、ヒースクリフへの忘れられない愛に苦しみながら死んでゆく。〉

〈さらに時が流れ、ヒースクリフは自分の息子をキャサリンの娘と結婚させ、裏切り者の恋人の婚家を乗っ取ろうと試みる。しかし人生の大半を復讐に費やしてきた彼は、すでに精根尽き果てていた。彼はかつて愛したキャサリンの幻影に悩まされながら憔悴し、ついにはこの世を去る。…〉

実写映画

1939年、ワイラー版。マール・オヴェロンとローレンス・オリヴィエ。

何度か実写映画化しているが、それぞれ復讐劇よりもメロドラマの色彩感が強い。特にワイラー監督版のキャサリンとヒースクリフが丘で戯れる姿は、うっとりするような美しさがあります。

また、日本でも室町時代の設定で映画化されています。主演は松田優作。

まとめ

じわりじわりと、崩壊する音が聞こえてくるかのような展開が見事。胸が苦しくなりつつも目が離せなくなる、そんな作品です。

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