ロマン主義的復讐劇・『嵐が丘』
激情的な性格のキャラクターに愛憎、復讐がからめられた"まさにロマン主義的"と言える物語の『嵐が丘』。イギリス文学の代表作品的地位を占めている名作です。
あらすじ・ストーリー
物語は病気療養で嵐が丘に来た何も知らない紳士に語る、〈嵐が丘に秘められし凄惨な過去〉を中心に展開されます。
〈嵐が丘の当主アーンショー氏はある日突然一人の孤児を連れてくる。その孤児はアーンショー氏の養子となり、ヒースクリフと名付けられ、実子同様に遇された。しかし氏の実子で長男のヒンドリーはそれを快く思わず、彼(ヒースクリフ)に対して何かと辛く当たる。その一方でヒースクリフは長女のキャサリンと親しくなり、淡い想いをはぐくんでゆく。〉
〈心が荒みつつも嫌がらせに耐えるヒースクリフだが、キャサリンと共に過ごす時間を心の支えに生きていた。しかし年頃のキャサリンは、やがて隣家の華やかさに惹かれてその当主・エドガー・リントンと結婚してしまう。裏切りを感じたヒースクリフはそのまま行方をくらます。〉
〈さらに時が流れ、ヒースクリフは自分の息子をキャサリンの娘と結婚させ、裏切り者の恋人の婚家を乗っ取ろうと試みる。しかし人生の大半を復讐に費やしてきた彼は、すでに精根尽き果てていた。彼はかつて愛したキャサリンの幻影に悩まされながら憔悴し、ついにはこの世を去る。…〉
実写映画
何度か実写映画化しているが、それぞれ復讐劇よりもメロドラマの色彩感が強い。特にワイラー監督版のキャサリンとヒースクリフが丘で戯れる姿は、うっとりするような美しさがあります。
まとめ
じわりじわりと、崩壊する音が聞こえてくるかのような展開が見事。胸が苦しくなりつつも目が離せなくなる、そんな作品です。