不倫と言う罪を通して描く生々しい人間性、『緋文字』
不倫が姦通罪として適用した時代の物語。先年流行った『昼顔』のような不倫そのものがテーマのものではなく、それを通して人の奥底に潜む罪悪や憎しみにスポットライトをあて、人間性に鋭い切り込みを入れた物語として評価されている作品です。
あらすじ・ストーリー
幸い極刑を免れたものの、復讐に燃えるヘスタの夫・ロジャーは何としてでも相手を探し出さんと決意しイギリスから妻のもとへやってくる。そして名乗ってこそいないが、直感的に世間で敬愛を受けている青年牧師・アーサーであると理解する。
一方のロジャーは復讐対象をなくしたことで気が抜け、間もなくこの世を去る。遺されたヘスタはパールと共に残りの人生を神への奉仕のために生きる決意をする。
〈呪いの意識〉から生まれた物語…?
格調高い文章でありながら、生々しい罪悪感、そして人が人を責め立てる時に見せる醜い感情描写が印象的なこの作品。ホーソンの先祖が魔女狩りに参加していたためにDNAに刻み込まれた記憶が、呪いのように伝っているのではないかという指摘もあります。
実写映画
青年牧師と人妻・ヘスタのラブロマンスに重点を置いた物語となり、原作とはちょっと違うテイストになっています。
まとめ
人が持つ感情の仮面をはぎ取ったかのような生々しさが印象的な作品。心に余裕がない時に読んでみると、案外救いになる一作かもしれません。