暑い夜には定番のコワ~いお話 5選

本格的に夏突入で、寝苦しい夜が増えてきましたね。そんな時には、知的に涼みましょう。うっかり開くと朝日を拝むハメになるかもですが…

夜は一緒に散歩しよ

MF文庫ダ・ヴィンチ / 著者: 黒史郎

第1回『幽』怪談文学賞 長編部門大賞受賞怪談文芸に画期をもたらす逸材のデビュー作!
作家の横田卓郎は妻を亡くし、娘の千秋と二人で暮らしていた。妻の死後、千秋は奇妙な絵を描くようになる……。人ではない異形のものを。ある日をきっかけに「青い顔の女」ばかりを描くようになった千秋は、その絵を「ママ」と呼び、絵を描くことに執着する。そしてもうひとつ執着すること。それは、夜の散歩だった。気鋭の新人が描く、第1回『幽』怪談文学賞大賞受賞作。

今まで読んだホラーの中で断トツで怖かった。不安→不気味→恐怖への盛り上げ方がすごい。紙芝居がトラウマになりそう。

出典: bookmeter.com

うぅ……これは怖かった。
夜、一人で読みながら何度後ろから視線を感じた事か。(気のせいなんだけどね。笑)
「怪談」の類は大好きだし、「ホラー」とは似て非なるジャンルだと思っているので、
今回も安心して読み始めたのです。ちょっと薄気味悪い程度だろう、と高を括ってました。
すっかり騙されました。ここ数年読んだ中でも、かなり怖い部類に入ります。

出典: nanaco1116.blog.fc2.com

幼い女の子が描く不気味な絵、狂ってゆく周りの人々、小説としての評価も高い作品ですが、
映像化するともっと怖くなるだろうとの声が多数上がっています。

黒史郎氏の作品は、他にも高評価を得ている「獣王」や「幽霊詐欺師ミチヲ」などがあります。

首無の如き祟るもの

講談社文庫 / 著者:三津田信三

奥多摩の山村、媛首(ひめかみ)村。淡首(あおくび)様や首無(くびなし)の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。3つに分かれた旧家、秘守(ひがみ)一族、その一守(いちがみ)家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。本格ミステリとホラーの魅力が鮮やかに迫る「刀城言耶(とうじょうげんや)」シリーズ傑作長編。

祟りを信じている一族で起きる不可解な殺人。複雑に絡み合った謎をが一つの真実によって解きほぐされる様は素晴らしかったです。それに加えて、強烈などんでん返しまで付いてくるので、ものすごいインパクト。分厚さからか、世界観が良く作られていて、ラストはゾクリとしました。

出典: osudame.com

文庫にして約600ページという分量からわかるとおり、書き込みが半端ではないし、
仕掛けも二重三重に巡らされていて読み応えも充分。
ラスト80ページが謎解き場面だが、刀城言耶が指摘する「たった一つのある事実」から、
すべての謎がするすると解けていく。
犯人が首を切ってまわる理由も、納得のいくもの。
最後の1ページまで、よくできた本格ミステリならではの知的感動が存分に味わえる。

出典: mojo1520.blog.so-net.ne.jp

横溝正史氏の「八つ墓村」を思い浮かべる人も多い、山奥の村・登場する一族の複雑な人物相関図・切って落とされる惨劇。
詳細に練られたストーリーに、思わず夜更かししてしまいそうになる逸品です。

三津田信三氏の著書は、他にも多数あります。
シリーズを読破してみるのも楽しいかも。

天使の囀り

角川ホラー文庫 / 著者:貴志祐介

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

貴志さんの作品は、頁をめくる手がとまらない! 衝撃的な内容とラストのせつなさは、やはり裏切らないなぁと、貴志ワールドをより好きになりました。

出典: bookmeter.com

今までで一番おぞましい恐怖を味わいました。
でも読んで欲しい!
この面白さを体験して欲しい!
ついでに言うと、あのおぞましい恐怖を体験して欲しいw!

出典: keitama.exblog.jp

文頭から物語に惹きこまれるストーリーテラーとしての手腕も秀逸ですが、何よりも
科学的な根拠に裏付けられた「起こりえる恐怖」は、また格別の怖さを伴います。

「アウトブレイク」や「感染列島」などがお好きな方には特におススメですね。

首ざぶとん

角川ホラー文庫 / 著者:朱雀門出

華道教室に通うまりかの先生・龍彦の趣味は、なんと怪談蒐集。龍彦に惹かれ蒐集を手伝うまりかだったが、図らずも怪異に巻き込まれてしまう…。新たな怪談の旗手が描く、日常に潜む怪異の世界。傑作連作短編集!

こ、これは…ツボでした。最近『怖さ』に迷っていた自分には、開眼させられるようなインパクト。素直に『怖さ』を感じさせてくれたかも。得体の知れないものへの畏怖、理解し難い存在に絡まれてしまう理不尽さ。中でも「ひじり」の違和感は鳥肌もの。知ろうとしてはいけないなんて、読書好きには、まさに禁じ手じゃないですか(苦笑)この不可思議でイヤ〜な手触り、なかなかです。

出典: bookmeter.com

どれも、現代を舞台にしながらも、怪談のおどろおどろしい雰囲気が出ているのはポイント高し!
祟り、禁忌、異形の物…その手の物が、うまく現代に溶け込んでいる。

出典: takuteku.blog.so-net.ne.jp

表紙からして、ちょっとホラーな感じのこの小説。
短編が4編入った形なので、涼みがてら手軽に頁を開けそうです。

黒衣の女

ハヤカワ文庫NV / 著者:スーザン・ヒル 翻訳:河野一郎

広大な沼地と河口に面し、わずかに水上に出た土手道で村とつながるだけ。その館は冷たく光りながら堂々とそそり立っていた。弁護士のキップスは、亡くなった老婦人の遺産整理のため、館にひとり泊まりこむことになる。だが立ちこめる霧があたりを覆うと、想像もできなかった怪奇が襲いかかった…孤立した館にしのび寄る恐怖をじっくりと描きあげ、伝統ある英国ゴースト・ストーリーの歴史に新たなページをひらいた傑作。

上質の英国ゴシックホラー小説。
描かれる世界は繊細で叙情的で、 凄惨な美しさが漂う。
そう、この物語をもとに、いくつもの印象的な名画を生み出せそうな…。
ゴシックホラー好きにはたまらない、いかにも、な設定を踏みつつも、
その「いかにも」の質が良いために、かえって斬新な気持ちを抱かせてくれる。
ひたひたと迫る恐怖、 少しずつベールが剥がされていく謎、
主人公の感情の波、そのどれを取っても申し分ない。

出典: booklive.jp

イギリスの特徴ともいえる霧や沼の描写、うなぎ沼の館や怪奇現象の不気味さ、そして正体不明の黒衣の女の存在などから生み出される、作品全体の暗くて重い雰囲気が好きだ。また本書は、正に余計な小細工なしの正統派ホラー作品だが、沼地から聞こえる子供の恐ろしい叫び声には思わずゾッとしたし、ホッと一息吐いた後に用意されている、予想を裏切るようなラストも秀逸だ。

出典: bookmeter.com

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