少女革命ウテナ(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『少女革命ウテナ』とは幾原邦彦率いるビーパパスが、漫画家さいとうちほと組んで制作した1990年代を代表するアニメ作品。1997年4月2日から12月24日まで全39話が放送された。1999年には完全新作の長編アニメーション映画が公開されている。
幼少期に王子様に助けられ、自身も王子様になりたいと思った天上ウテナは入学した鳳学園で「薔薇の花嫁」と呼ばれる少女・姫宮アンシーに出会い、彼女をかけた決闘ゲームに巻き込まれていく。

『少女革命ウテナ』の概要

『少女革命ウテナ』とは幾原邦彦監督を中心とした制作者集団ビーパパスによるアニメ作品。漫画、ゲーム、ミュージカルや小説など様々なメディアミックス展開がされており、それぞれ物語の展開や設定が異なっている。
鳳学園という閉鎖された学園世界やお姫様と王子様といった少女漫画的なモチーフを、劇中劇のような劇団的表現、哲学的な応酬、象徴や隠喩で彩った作品である。さいとうちほ原案の少女漫画的な華麗さと、演劇実験室◎万有引力のJ.A.シーザーが提供する劇中歌の採用も、独特な世界観を演出している。幾原監督には「暗黒タカラヅカ」と表現される。
アニメの開始に合わせ、ビーパパスの一員であるさいとうちほが月刊少女漫画雑誌『ちゃお』にて連載開始。テレビアニメシリーズの製作決定を受けての連載であるため「原作ビーパパス」と明記されている。
アニメは全39話。1997年4月2日から同年12月24日まで放映された。

幼い頃に助けてくれた王子様に憧れ、王子様になりたいと願う天上ウテナは、入学した鳳学園で姫宮アンシーという少女に出会う。
アンシーは「薔薇の花嫁」と呼ばれており、決闘に勝利しエンゲージした者には「永遠」に至る「世界を革命する力」が与えられると言われていた。
「薔薇の花嫁」をかけて戦い続ける生徒会メンバー(デュエリスト)たちは「薔薇の刻印」と呼ばれる指輪を持っていた。
ウテナが幼少期に助けてもらった王子様に貰った指輪がデュエリストの持つ「薔薇の刻印」と同じものであったため、ウテナもこの薔薇の花嫁をかけた決闘ゲームに巻き込まれていく。
各生徒会メンバーとの決闘の末アンシーを手に入れたウテナだったが、謎の組織”黒薔薇会”が現れる。
彼らの用意した黒薔薇のデュエリスト達が生徒会メンバーの剣を手に、ウテナに決闘を挑む。彼らの目的は薔薇の花嫁に死を与えることだった。
黒薔薇会の主宰者である御影草時との決闘に勝利したウテナは、アンシーの兄で学園理事長代理の鳳暁生と関係を深めていき、「世界の果て」の真相に近づいていく。

『少女革命ウテナ』のあらすじ・ストーリー

決闘に挑む桐生七実(左)と天上ウテナ(右)

幼い頃に自分を助けてくれた王子様のようになりたいと決意した天上ウテナ(てんじょうウテナ)は、ある日、鳳学園の温室で姫宮アンシー(ひめみやアンシー)と出会う。アンシーは薔薇の花嫁と呼ばれており、生徒会役員が彼女を巡って決闘を繰り広げていた。勝者となり、アンシーとエンゲージしたデュエリストは世界を革命する力を与えられるという。ウテナはアンシーを助けるために決闘に巻き込まれていく。

1〜13話:生徒会編

クラスメイトである篠原若葉(しのはらわかば)のラブレターを無下に扱った西園寺莢一(さいおんじきょういち)に怒ったウテナは、西園寺に決闘を申し込む。西園寺が決闘場所に指定した学園裏の森にある「決闘広場」は、生徒の立ち入りが禁じられている場所だった。固く閉ざされた門は、ウテナが幼い頃に王子様から贈られた薔薇の刻印を持つ指輪に反応し、開かれる。長い螺旋階段を上がった先には決闘相手である西園寺莢一と、姫宮アンシーの姿があった。アンシーは「薔薇の花嫁」と呼ばれる存在で、彼女とエンゲージしたデュエリストは世界を革命する力を与えられるという。西園寺は薔薇の花嫁とエンゲージしたデュエリストが扱うことの出来るディオスの剣をアンシーの胸元から抜き、ウテナを追い込むが、決死の覚悟で挑んだウテナに軍配があがる。勝者となったウテナは、意図せずアンシーとエンゲージすることとなった。
西園寺に勝利して以来、ウテナは生徒会のデュエリストたちに次々と決闘を申し込まれる。ウテナは薫幹(かおる みき)、有栖川樹璃(ありすがわ じゅり)、桐生七実(きりゅう ななみ)との戦いに勝ち続けて行く。
しかし生徒会長・桐生冬芽(きりゅう とうが)が幼い頃に出会った王子様なのではないかと疑ったウテナは動揺し、冬芽との決闘に敗北してしまう。ウテナは敗北以来、普通の女の子になろうと異性装をやめ、女子制服で学校に通うようになる。その姿をみた若葉は「ウテナらしくない」と鋭く言い放つ。親友の言葉に心動かされたウテナは自分の普通を取り戻すために冬芽に再戦を申し込み、勝利した。
こうして再びウテナとアンシーはエンゲージする。ウテナにとっての普通である、アンシーが傍にいる日々が戻ってきた。

14〜24話:黒薔薇編

根室記念館で永遠の研究をしているという天才高校生と御影草時(みかげ そうじ)は、ディオスの力を手に入れて永遠の秘密を得るため、アンシーを亡き者にして千唾馬宮(ちだ まみや)を薔薇の花嫁にしようと計画していた。御影は心に闇を抱える者たちに黒薔薇を送り、決闘に必要なデュエリストを集めた。黒薔薇のデュエリストとなった鳳香苗(おおとり かなえ)、薫梢(かおる こずえ)、高槻枝織(たかつき しおり)、石蕗美蔓(つわぶき みつる)、風見達也(かざみ たつや)、篠原若葉、苑田茎子(そのだ けいこ)たちは次々にウテナとの決闘を行うが、勝利することが出来ない。
根室記念館を訪れたウテナは決闘で対峙した黒薔薇のデュエリストの写真を発見し、御影が黒薔薇のデュエリストを操っていた黒幕であることを知る。ウテナは、みんなの大事な思い出を利用していた御影に怒り、決闘を挑んだ。
ウテナと剣を交える中、御影は決闘広場に飾られている写真を見て、永遠を与えたかった馬宮が既にこの世に存在しないことを思い出す。御影は失意の中、ウテナに敗れた。
御影が馬宮だと信じていた褐色肌に緑色の瞳を持つ馬宮は、世界の果ての正体である鳳暁生(おおとり あきお)の企てによりアンシーが演じていた偽物だった。

25〜33話:鳳暁生編

西園寺との決闘でウテナが手にしたディオスの剣が消失してしまう。剣を失ったことで窮地に陥ったウテナだが、アンシーの協力を得て2人でウテナの胸元から新たな剣を取り出すことに成功し、西園寺に勝利した。世界の果てへ不信感を抱き始めたデュエリストたちを再びウテナと決闘させようと企てていた暁生と冬芽は、デュエリストとパートナーの2人一組でウテナと決闘するよう暗躍し始める。薫幹と薫梢、土屋瑠果と高槻枝織、有栖川樹璃と土屋瑠果、桐生七実と桐生冬芽。デュエリストの胸からパートナーが剣を抜き、ウテナに勝利しアンシーとのエンゲージを目指す。
ウテナとアンシーは2人きりの寮生活から、暁生の住まいで3人で暮らすようになる。何気ない日常を送る中、ウテナは暁生へ徐々に心を寄せ始めていた。ウテナは妹のアンシーや暁生の婚約者である香苗への罪悪感を覚えると共に、自分が好きなのは幼い頃に出会った王子様だと何度も自分に言い聞かせていた。しかし、ウテナは暁生に薔薇を届けたその夜に、2人きりで一夜を過ごしてしまう。暁生とアンシー、仲の良い2人に兄妹を超えた深い関係があるとは知らぬままだった。

34〜39話:黙示録編

ついに決闘の勝利者が世界を革命する者となる段階で、冬芽はウテナに決闘を申し込む。この決闘に勝利すれば生徒会は薔薇の花嫁に手を出さないという約束の一戦で、ウテナは冬芽を破り、ついに世界を革命する者となった。
ウテナは薔薇の花嫁であるアンシーを解放するために最後の決闘広場へ向かう。そこに現れたのは暁生だった。暁生は自分が世界の果てでありウテナが幼い頃に出会った王子様であることを告げる。ウテナの胸元から抜いた剣を手にした暁生はウテナをお姫様として守ると言うが、そうなるとアンシーは薔薇の花嫁として永遠に苦しみに囚われ続けることとなってしまう。ウテナはアンシーを解放するために王子様となって戦うことを選択する。しかしアンシーは「あなたは私の王子様にはなれない。女の子だから」とウテナを拒む。暁生はウテナの剣を扱い薔薇の扉を開こうとする。その間にも百万の剣がアンシーを襲い続けていた。ウテナは満身創痍の身体を顧みず立ち上がり、アンシーを救うべく手を伸ばす。薔薇の扉はいつしか棺と変わり、その中いるアンシーはひたむきなウテナに応えて手を取った。しかし数多の刃がウテナを襲い、決闘広場は崩壊する。ウテナとアンシーは離れ離れになってしまう。

暁生とウテナの決闘の後、ウテナは学園から姿を消した。生徒たちの記憶からも徐々にウテナの存在は薄れていく。幹は後輩に仕事の補佐を教え始め、樹璃がまとめるフェンシング部には枝織が入り、西園寺と冬芽は共に剣道部で精を出す。若葉の元にはウテナではない新しい親友がいる。暁生は再び薔薇の門を開くために新しい決闘を企てる。
アンシーはペットのチュチュと旅支度を整え、鳳学園の外へ一歩を踏み出す。「今度は私が行くから。どこにいても必ず見つけるから。待っててね、ウテナ」主体性のなかったアンシーは、自らの意思でウテナを探して外の世界へ向かっていく。ウテナはアンシーを棺から助け切ることは出来なかったが、アンシーの意識革命には成功していたのだった。

『少女革命ウテナ』の登場人物・キャラクター

主人公

天上ウテナ(てんじょう うてな)

声:川上とも子
14歳、12月29日生まれ、B型
身長164cm、体重46kg

本作の主人公。
幼少期に両親を事故で亡くし、その際に自身を助けてくれた白馬に乗った王子様に憧れ自分も王子様になりたいと思っている少女。
”王子様のように気高くかっこよく”をモットーに正義感が強くスポーツも万能で中等部の女子生徒の人気の的である。
薔薇の花嫁と呼ばれる姫宮アンシーと知り合い、彼女を巡る決闘ゲームに巻き込まれていく。
実は幼少期王子様にに会った際に「百万本の剣」で貫かれたアンシーの姿を見せられていて、その際に「薔薇の刻印」の指輪を授けられていた。
その時、ウテナの本当の目的は「アンシーを助け出すこと」だったことが判明する。
暁生とアンシーが肉体関係にあることを知ってもアンシーを助ける気持ちは変わらず、本当のアンシーが閉じこもっていた「棺」を開く事に成功し、彼女の意識を革命する。
ウテナはアンシーの身代わりとなり鳳学園という世界から消え、アンシーと暁生以外の他の人々から忘れられてしまう。

姫宮アンシー(ひめみやあんしー)

14歳、2月29日生まれ、AB型
身長157cm、体重41kg
鳳学園中等部二年生。チュチュという子猿以外に友人を持たず、学園内の温室でひとり薔薇の世話をする。

薔薇の花嫁と呼ばれている少女。
決闘ゲームに勝利し彼女とエンゲージしたものには世界を革命する力が与えられるといわれている。
エンゲージした者に従属し、あまり主体性を見せない性格である。
昔多くの人の願いを叶えすぎたことで傷ついたディオス(王子様)を封印したが、彼女は「魔女」と見なされ、ディオスに救ってもらうはずだった「お姫様」達の家族によって無数の剣で刺し貫かれ、人々の憎しみから成る「憎悪に光る百万本の剣」を受け止め続ける事になる。
趣味はトランプ、動物を可愛がること。得意なことは動物との会話、苦手なことは料理、勉強、友達を作ること。

初期決闘関係者

桐生冬芽(きりゅうとうが)

ts
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@ts

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