七つの魔剣が支配する(ななつま)のネタバレ解説・考察まとめ

『七つの魔剣が支配する』とは、宇野朴人による電撃文庫のファンタジーライトノベルおよび、2023年7月から放送された魔法と剣が交差する世界を舞台にした異世界ファンタジーアニメである。独特の美学と複雑なキャラクターが特徴で、主人公たちの成長と冒険を描く。魔剣を巡る戦いと友情の物語は、多くのファンを魅了している。アニメは小説の魅力を色鮮やかな映像で表現し、緊張感あるストーリーラインが視聴者を引き込む。

『七つの魔剣が支配する』の概要

『七つの魔剣が支配する』とは、宇野朴人による電撃文庫刊のファンタジーライトノベル、およびそれらを原作とした漫画・アニメ作品である。略称は『ななつま』。2019年より『月刊少年エース』にてえすのサカエの作画によりマンガが連載されている。また2023年7月から10月まで、J.C.STAFF制作によるアニメが放送された。
この作品は、学園と復讐劇を融合させた独特の世界観で、多くの読者を魅了してきた。特にアニメ化されたことにより、その魅力はより多くの視聴者に届けられることになった。
物語の舞台は名門キンバリー魔法学校で、ここでは卒業までに2割の生徒が魔法の修練により再起不能や行方知れず、または発狂した末に死に至るという過酷な環境が描かれている。主人公のオリバー=ホーンを中心に、様々な出自や背景を持つ少年少女たちが集い、魔法使いとなるべく切磋琢磨していく姿が注目点。
アニメは原作の持つ緊張感とドラマを色濃く反映しつつ、キャラクターたちの成長や友情、そして彼らが直面する困難を丁寧に描き出す。特に「七つの魔剣」というキーワードは、物語全体を通じて重要な役割を果たし、視聴者の好奇心を掻き立てる要素となっている。アニメ版はその視覚的な表現により、原作の世界をよりダイナミックに、そして鮮やかに伝えることに成功している。この作品が社会に与えた影響は大きく、特にアニメ化によって新たなファン層を獲得し、ライトノベルやアニメのジャンルにおける話題作となった。またアニメーション制作のJ.C.STAFFは、その高いクオリティで知られており、本作においてもその技術力を存分に発揮している。総じて『七つの魔剣が支配する』はファンタジーと学園生活を組み合わせた斬新な設定と、深い人間ドラマを描くことで、多くの人々に愛され続ける作品であると言える。

『七つの魔剣が支配する』のあらすじ・ストーリー

出会い

イギリスに似た大英魔法国(イエルグランド)にある、創設者が探索を行った地下迷宮の上に建つキンバリー魔法学校。卒業までに2割の生徒が、魔法の源である「魔」によって侵食され「魔に呑まれる」という。新入生のオリバー=ホーンとナナオ=ヒビヤとカティ=アールトとミシェーラ=マクファーレン(以降は愛称のシェラと表記)とガイ=グリーンウッドとピート=レストンたち(以降「オリバーたち」は特に記述がない場合はこの者たちのことを指す)は、歓迎のパレードで人間とは違う亜人種のトロールがひと暴れしたのを協力して鎮めたことがきっかけで親しくなり、行動をともにするようになる。特にオリバーはひと騒動でのナナオの剣技に惹きつけられ、次の日噴水で前の戦でついた血を洗い流すため、上半身裸で水垢離をしていたナナオと遭遇してしまい否が応でも意識してしまう。護衛術となる魔法剣の授業ではナナオとの模擬戦に、先に手を挙げた先輩を差し置いてオリバーは立ち合いを望み、互いに死をかけてまでの鍔迫り合いになってしまうほどだ。オリバーは死ぬような真似はしたくないと「君とはもうやり合わない」とナナオに言い放つ。
ある日の放課後、ピートが学校に忘れ物をしたのでオリバーとシェラが付き添いで学校に取りに戻った。学校は地下の迷宮に侵食されていて、さらに先輩のオフィーリア=サルヴァドーリとサイラス=リヴァーモアの手荒い歓迎を受けるが、結果的には学生統括のアルヴィン=ゴッドフレイたちに助けてもらう。しかしナナオが駆けつけて、まるで死ぬ気でしんがりをつとめてくれる。その行動にオリバーたちが外の噴水で改まって問いただすと、「憎む復讐の剣は楽しからず、相手を思う相愛の剣こそ楽しけれ」と答えられる。敬愛する相手と殺し合うまで戦う「仕合わせ」を渇望し、オリバーこそその相手だと確信したのだが、そのオリバーに拒否されたことで自暴自棄になってした行動らしい。カティが「好きな相手に振られたから?」と聞くと、ナナオは「人に惚れたか剣に惚れたか、どちらも変わりない」と言う。そこでシェラが「ならば生き方を変えて、人を選びなさい」と諭すと、ナナオは「ここでは死に急がないと誓い申す」と皆と約束する。
魔法剣の授業で、この世には呪文を唱えるよりも剣の方が速い間合い「一足一杖」内で、敵をいかなる抵抗も許さずに必ず斬り伏せる術理の総称「魔剣」が存在すると教えられる。所持者も決して明かさないため真偽は定かではないが、現在六本の魔剣があるという。ナナオが興味を示すが、オリバーはそっけない。この話されている魔剣が今後深く関わってくるとは知る由もない。

カティを巡る顛末

騒動を起こし人まで殺してしまったトロールが、錬金術の教師のダリウス=グレンヴィルに殺処分されかけるところを、カティは抗議してやめさせようとしていた。オリバーたちも駆けつけたが、ダリウスがカティに手を上げようとしたその時、先輩のヴェラ=ミリガンと魔法剣の教師のルーサー=ガーランドがやってくる。「パレードの件はまだわからない点があるので証拠として残すと校長も認めた」と止めに入ると、「そのサル(カティ)が踏み潰されるだけだろうがな」と捨て台詞を吐いてダリウスは去っていった。
ミリガン先輩の協力のもと、カティとトロールのコミュニケーションが始まった。自らもトロールに与える飯を食べてみせ、朝と放課後足繁く通っていたある日、とうとうトロールは飯を食べてくれる。さらにその後、片言だが喋ってくれた。それを見ていたミリガン先輩は「私の時は一言も喋ってくれなかったのに」と、トロールを喋らせたカティの脳に興味を持ち、彼女を攫う。オリバーとナナオはトロール暴走の原因が、実はトロールを実験台にしていたミリガン先輩からの逃亡だということを知り、そこからカティが杖を落としてトロールの檻からいなくなっていることに気づいて迷宮を探し出す。ほどなくして、ミリガン先輩の工房に行き当たり、カティが解剖されようとしている現場に居合わせた。ミリガン先輩は対象を石化させる「魔眼」の持ち主だった。苦戦する2人。ここぞとばかりにミリガン先輩に迫るナナオだったが、ミリガン先輩は左手にも対象を弱体化する「魔眼」を隠し持っていた。それでもナナオは無意識に時空ごと左手を切り伏せ、ミリガン先輩の気を失わせて倒すことができた。オリバーはナナオのこれは「第七の魔剣だ」と確信する。カティが目覚めて事の顛末を話すと、彼女が精神を病むどころか元気よく、優しさを持ったままであることにオリバーは思わず涙を流すのであった。
後日、カティのもとへミリガン先輩から伝書鳩が来て、お詫びの印にオリバーたちに工房を提供してくれるという。
たどり着いた工房で、オリバーたちは互いの剣を交え自分たちを「剣花団」として絆を結んだのだった。

復讐

ミリガン先輩にトロールを提供していた黒幕がダリウスだと分かった。オリバーはダリウスに呼び出され、助手にならないかと誘われるが、オリバーは「大暦1525年4月8日の夜にあなたはどこで何をしていましたか」と問う。ダリウスは「面白い質問だ」と言った後、「あの女の縁者が生きているとは」と殺し合いになる。オリバーは第四魔剣・「奈落を渡る糸(アングスタヴィア)」を使う。それは未来の可能性の一つを観測し、その未来へ現在を収束させるという力を持っていた。幾多の未来を読み取って、唯一の勝利をもぎ取る。拷問の末、ダリウスを介錯した。これは決められたことで、オリバーはこの学園に復讐しにきたのだ。母クロエ=ハルフォードをよってたかって殺した教師たちに同じ目を合わせる。従兄グウェン=シャーウッドと従姉シャノン=シャーウッドも同じ復讐に加担する「同志」と呼ばれる協力者だった。

オフィーリアが魔に呑まれる

性別が反転する両極往来者(リバーシ)であることが判明したピートが、オフィーリアのキメラに攫われた。オフィーリアはサキュバスの末裔で、男を惑わす「惹香(パフューム)」と子宮を使った魔獣産みの魔術を使う。魔法の源である「魔」によって不可逆的に侵食されることで引き起こされ「魔に呑まれる」。それによって大量の魔力(男の精力)が必要になり下級生たちを攫ったのだ。カティが教師に相談するも、「介入するのは8日後」と取り合ってくれない。生徒たちでどうにかするしかないのだ。カティはミリガン先輩にも相談し、ミリガン先輩はカティが研究の協力者となってくれることを条件に、ミリガン先輩、オリバー、シェラ、ナナオがオフィーリアのいる迷宮第三層「瘴気の沼地」へ向かって潜ることとなった。ピートがオフィーリアにリバーシだと分かればキメラの生成を阻害するとして早々に殺されかねない。
学生統括である5年生のゴットフレイと、同じ生徒会で同級生のカルロス=ウィットロウたちもオフィーリアとは昔からの友で、これは自分たちの責務だと迷宮に入り込んでいた。
オリバーたちはミリガン先輩の助力がほとんどなくとも、次々とオフィーリアのキメラや迷宮のモンスターを倒して奥へと進んでいく。
軟禁されていたピートはパフュームにかからなかったことから、一緒の房にいた同じ1年のジョセフ=オルブライトの腹から潜ませていた脱出のための道具をもらい、工房を出て居場所を知らせるための信号玉を使う。
迷宮に潜っていたものたちは気づいたが、オリバーたちが真っ先にピートを助け出す。そこにオフィーリアが立ち塞がる。極められた魔道である絶界詠唱(グランドアリア)・子宮殿(パラーテイウムアニマールム)を唱え、自らの子宮を模した空間に皆を取り込む。閉じられた空間である絶界を完成させた。ミリガン先輩が先陣を切ったものの倒れ、ステイシー=コーンウォリスの従者のフェイ=ウィロックを救うため別ルートから来ていた縁戚のステイシーと先輩リネット=コーンウォリスも加わり、一同でオフィーリアに襲い掛かる。ナナオが迫るがオフィーリアが泣く子供同然だと見抜いてしまい、自身の矜持として泣く子は切れずとためらったため、いなされてしまう。絶体絶命かと思われたが、結界を破りゴットフレイとカルロスが現れる。カルロスがオフィーリアに近づき、歌い始める。彼は少年期に男性機能を除去したカストラートなのだ。オフィーリアとは幼い頃から縁を結んでいて、性に関わる魔法の対抗手段となって、オフィーリアが魔に飲まれた時のためにいたのだ。暴走を鎮め、抱き合うカルロスとオフィーリア。光へと還っていく中で、深く手を繋ぎ合い、2人は消滅し白い砂だまりとなった。囚われた人々も助かり、こうしてオフィーリアを巡る騒動は落着したのだった。

『七つの魔剣が支配する』の登場人物・キャラクター

剣花団

オリバー=ホーン

CV:田丸篤志
『七つの魔剣が支配する』という物語の中心人物で、剣花団を率いる若きリーダーである。彼は約150センチメートルの身長を持つ成熟した少年で、周囲への気配りや義理堅さ、そして他人への思いやりが特徴。亡き母クロエによる魂魄融合(ソウルマージ)を前提とした度重なる拷問や自殺にも等しい鍛錬によって、苦痛に対する耐性が非常に高い。ソウルマージによってクロエから学んだ鍛錬を生かした、魔法を使った独自の戦術を駆使する。しかし、彼はまた、自分が築き上げてきたものや犠牲にしてきたものの重圧に押しつぶされそうになることもある。母方の本家の親戚にあたるシャーウッド家で育った魔法使いの家系の出身で、彼は「ノル」という愛称で親しまれている。魔法を使ったコメディを練習しているものの、笑いを取ることには苦戦している様子。彼の真の目的は、母親を裏切り、拷問し、殺害した教師たちへの復讐なのだ。彼はその復讐のために、想像を絶する努力を重ね、その過程で得た知識や技術を武器にしている。オリバーの優しさは、彼の魔法の道であり、彼が追い求める理想でもある。彼は、母親の仇である人々を前にしても、仲間を見捨てることができないほどの強い理性の持ち主。魔法使いとしては多才だが、真に才能のある者たちには及ばない。それでも、彼は一生懸命に鍛錬を積み重ね、学年トップクラスの実力を身につけた。彼の体は、幼い頃に魔法薬を濫用したことで、微かな薬草の香りを放っている。そして、彼は第四魔剣「奈落を渡る糸(アングスタヴィア)」を操る使い手である。この魔剣は彼の魂と肉体に大きな負担をかけるものであり、使用後は激しい痛みに苦しむが、それでも彼は自分の使命を果たすために戦い続けるのだ。

ナナオ=ヒビヤ/響谷 奈々緒

CV:貫井柚佳
東方の国、日の国東陸永泉から来た武家の娘であり、サムライとしての訓練を受けている。彼女は戦で死にかけたところをミシェーラの父親に救われ、キンバリーに推薦枠で入学した。身体には数えきれないほどの傷跡が残っている。英語、またはイエルグリスは勉強中であり、武士口調で話すことが特徴。「無垢の純白(イノセントカラー)」という体質を持ち、戦闘時には魔力の循環が活発になると黒髪が白く変わる。入学当初は東方出身者として珍しがられ、剣技に反して魔法が使えなかったため、一部の同級生から軽んじられていた。しかし、迷宮の闘技場でガルダを討伐し、その実力が認められるようになった。ナナオはオリバーと剣を交えた瞬間から、彼を「相愛の剣」の相手と定め、心の奥底では彼と斬り合うことを望んでいる。彼の側にいることを常に望みながらも、友情を大切にし、二人の関係の複雑さに悩む。ナナオは内戦中の母国で殿を務めた経験から、卓越した剣術を持っている。彼女は「諸手切り流し」という独自の技を使い、魔法剣による戦闘では学年を問わず強者と対等に渡り合える実力を持つ。キンバリーに入学してからは、オリバーの指導の下で魔法も上達する。箒乗りとしても才能を持ち、クロエの箒を手懐け、箒術の授業で素人ながらも卓越した操縦技術を披露した。その結果、二年生にもかかわらずシニアリーグに昇格し、若手筆頭となった。ナナオは名無しの第七魔剣の使い手である。彼女の物語は、魔法と剣術の融合、そして東西の文化が交差する独特の世界観を持つキャラクターとして描かれている。

カティ=アールト

CV:大仁田仁美
連合北方の湖水国から来た留学生であり、巻き毛の少女である。彼女は人権派の家系に生まれ、生き物全般を愛する心優しい性格。トロールや亜人種を含むすべての生命を尊重する彼女は、キンバリーでこれらが軽んじられる現状に心を痛めている。それでも、異なる意見を持つ者との対話を通じて理解を深めたいという強い願いから、キンバリーに留まっているのだ。また、解剖学を学び、人間以外の生物に対する治癒魔法の技術を習得。彼女はオリバーやナナオ、シェラといった学年トップ層の生徒たちとは異なる、生物の生理や生態系に関する深い知識を持つ強みを有している。2年生の時から異種間コミュニケーション学に興味を持ち、ミリガン先輩とともに研究を進めてきた。多くの困難を乗り越え、3年生になる頃には、学校にいる全てのグリフォンと心を通じ合わせることができるようになる。カティは、物語の中でオリバーと最初に会話を交わした人物であり、1年生の頃から彼に好意を抱く。彼女の物語は、異なる文化背景を持つ者同士のコミュニケーションと理解、そして複雑な人間関係の中での成長を描いている。

ミシェーラ=マクファーレン

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