七つの魔剣が支配する / ななつま

王道にして最新鋭の魔法物語「七つの魔剣が支配する」

「七つの魔剣が支配する（著：ミユキルリア）」は電撃文庫から出版されているライトノベル。キンバリー魔法学園に入学した主人公、オリバーを中心とした魔法使いたちの物語。学校に起こる数々の怪奇現象や箒を使ったスポーツ、魔法の授業などの王道を踏まえながらも、これまでの常識にはない独特な世界観と魅力に満ちた作品である。
この作品で最初に語らなければならないのはヒロインであるナナオ＝ヒビヤの存在だろう。題名にも剣とあるようにこの世界では杖（白杖）と一緒に杖剣を使うが、このナナオはサムライの装いにして日本刀を使う。困っている人を助ける彼女の姿はまさに武士道だが一方で明るい性格も持ち合わせる彼女は容姿だけでなく行動の全てが魅力的である。
次に注目すべきは引き込まれる戦闘シーンだ。剣と題名に入っていることから戦闘シーンがあることは予想できるのだが、数ある戦闘シーンのいずれも一度読み始めると目を離せないほどに引き込まれてしまう。生死をかけたスリルある戦いの中で剣と魔法が入り乱れ、それに対峙していく主人公たちの姿は臨場感あふれるものとなっている。また水面下での読み合いなど頭脳戦も見逃せない。
最後に触れなけらばならないのは登場人物たちの個性ではなかろうか。この作品の舞台であるキンバリー魔法学園は名門学校であり様々な事情を抱えた生徒たちが集まっている。価値観の異なる彼ら彼女らがキンバリーという舞台で互いに打ち解け合い、絆を紡ぐ姿はみていて心惹かれるものであった。
これはライトノベルを読み慣れている人もこれまで触れてこなかった人にも薦めることができる魅力的な作品と断言できるだろう。