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kekeukekeのレビュー・評価・感想

かもめ食堂 / ruokala lokki
8

この作品、監督ならではの世界観が楽しめる逸品

この作品の原作を書かれているのは「群ようこ」さんで、女性から多くの支持を受けている作家だ。
監督は荻上直子さん。話題になった作品としては『彼らが本気で編むときは、』というトランスジェンダーの主人公を描き、ベルリン国際映画祭やニューヨーク・アジア映画祭などで、数々の賞を受けた才能ある監督の1人である。

『かもめ食堂』が公開されたのは2006年だが、この作品で最も将来性を期待される監督に与えられる「新藤兼人賞」で銀賞に輝き、彼女の才能が広く知られるきっかけになったといえる作品である。

映画の舞台はフィンランドのヘルシンキで、その町でお店をする1人の日本人女性のストーリー。何気ない日常を穏やかに描いており、大きな起承転結はないのだが、なぜか引き込まれてゆく世界がこの作品の中にはあるのだ。
独特の空気感やテンポ、必要以上にないセリフと表情。これをさらに魅力的にしているのが、小林聡美さん・もたいまさこさん・片桐はいりさんという、個性的な俳優3人だろう。間違いなくこの3人だから作れる世界観である。

小林聡美さん演じる主人公の女性は「かもめ食堂」という小さな可愛いお店を、ヘルシンキという日本ではない場所でたった1人でオープンするのだが、お客さんはほとんど無い。それでも自分のペースで、自分らしく毎日を過ごすストーリーである。その中で出会った片桐はいりさん・もたいまさこさん演じる日本人女性との交流を通して、少しづつ素敵な変化が起きていく所が、観ている者の心に優しく沁み込んでくる。

日本とは違うフィンランドの時間の流れ方や景色を感じれるのもおススメしたい点である。
穏やかで優しい中に、違う人種に対してのちょっぴりほろ苦い人間の部分も感じさせる描き方は、何度観ても面白いと感じさせてくれる作品である。