"hide初心者”の若者がhideに迫るドキュメンタリー映画
この映画は、”hide初心者”の俳優・矢本悠馬が、「HURRY GO ROUND」というhideの遺作の楽曲の歌詞にひっかかりを覚えたことからはじまる(このような、死の謎のメッセージの捜索は、どこか市民ケーンの「薔薇のつぼみ」を想起させる)。
矢本氏はhideの墓参りに行き、そこには新しい花々がたくさん添えられていて、今だにファンに愛され続けているhideに興味を覚えてゆく。彼は「hideとは一体どういう人なのか、どのように生きて、なぜ死んでしまったのか」という疑問を抱きこの映画を動かしてゆく。そして、hideという人物がどういう人なのか、その人物像の核心を掴むことができれば、”死の謎”も解けるのではないかという仮説を立てる。
過去の膨大な映像資料を視聴し、またhideの弟であり、マネージャーでもあった松本裕士氏を介して死の3か月前に滞在したロサンゼルスへ向かい、当時のスタジオ・エンジニアなどにも取材をしてゆく。
映画のラストでは、hideが死の直前に訪れたバーにて松本裕士氏や運転手を務めていた方などが状況を語るシーンがある。そのバーで酒が回ってきた頃合いにhideとメンバーとの間で喧嘩のような形で言い合いがあったという。
なぜ言い合いになったのか、その理由をあまりこの映画は深く探らなかったが、ミュージシャンの”hide”という存在と松本秀人との間の葛藤などにも、もう少し焦点を当てて欲しかった。酒を飲むとあるラインを超えるとキレはじめるということも少し触れられていたが、hideの弱さももう少し見たかった気がする。