毛皮のヴィーナス

毛皮のヴィーナス

『毛皮のヴィーナス』(けがわのヴィーナス、La Vénus à la fourrure)は2013年のフランスのブラック・コメディ映画。監督はロマン・ポランスキー。ドイツの作家・マゾッホの背徳小説『毛皮を着たヴィーナス』を舞台化しようとしている台本作家と、ヒロイン・ワンダ役のオーディションに現れた謎の女性とのやり取りを描いたものである。
本作は2013年の第66回カンヌ国際映画祭で5月25日に特別上映され、11月にフランス劇場公開された。また、2014年1月の第39回セザール賞では監督賞を受賞し、作品賞、主演女優賞、主演男優賞、脚色賞、音楽賞、録音賞にノミネートされた。

毛皮のヴィーナスのレビュー・評価・感想

毛皮のヴィーナス
6

ポランスキーの異色作

この映画はザッヘル=マゾッホの小説を映画化したものではなく、この小説を舞台化しようとする脚本家と無名の女優との顛末を描いた作品で、登場人物はその2人しか出演しないというものです。
私はてっきりこの小説を映画化したものだと思って劇場に脚を運んだのですが、30分ぐらい過ぎてもこの2人しか出てこない内容に「シマッタ!これは俺の思っていた映画とは全然違うじゃないか!アテが外れた」などと映画館の暗がりで一人心のなかで地団駄を踏んでいました。そういう思いで観ていたせいなのでしょうか、この登場人物たちの演技がやっつけ仕事に感じられました。
考えてみれば私はポランスキーの作品はあまり楽しめたことがないし、唯一面白いと思ったのはハリソン・フォード主演の「フランティック」ぐらいなもので、ポランスキーの作品は体質的に受付ないのかもしれません。私はホラー・ファンでもあるので「吸血鬼」を観て少し面白かったぐらいの印象しかありません。その後DVDで「ポランスキーの欲望の館」も観たのですが冗長な展開だと感じました。この「毛皮のヴィーナス」に話を戻すと、登場人物が2人だけという発想はとても面白い試みだと思います。ただ、これは映画でなく演劇にした方が面白くなると思いました(エキストラを集めなくてもいいですしね)。