本当に美しい映画
まず主演の中谷美紀さんが本当に美しい。佇まい、表情、仕草、本当に素晴らしい女優さんだと思う。そしてこの作品にはこの人しかいないと思わずにいられない。
恐ろしい精度と情熱で仕事をして亡くなった祖母の大きすぎる影にひっそり沈んだまま、自身の天才ぶりを発揮する裁縫士のお話。
神戸という舞台もとても素敵で、その画面の美しさとなんとも言えない異世界感にも深く癒される。だけど、ただ美しい、素敵だなぁ、という映画ではなく、強い物語がきちんと描かれている。それに関わる直向きで健気な営業マンもストーリーに欠かせない。
誰もが人生で壁にぶつかるけれど、こんな風に決定的に背中をぐぐぐっと押してくれる人がいたらいいなぁ、しかもこんなに諦めずに、と羨ましくもなる。
もう一つ羨ましいものが、劇中に出てくるあの真っ白なケーキ!あんまりにも美味しそうに食べるから、ということもあるけれど、カフェの雰囲気といい、ケーキのビジュアルといい、ホールで食べるところといい、全てが完璧。食べたことのないケーキなのに、なんだか一緒に食べているような贅沢な気分にさせられる。劇中に出てくる永野芽郁さんもとても可愛らしい。きっと輝く人って、少しの役でもきちんと輝けるのだろうな、という気持ちにさせられた。
見る人をゆったり、じっくり、とても贅沢な気分に浸らせてくれて、最後にはとても清々しい気持ちにさせてくれる素晴らしい作品。