『涼風』について
広島から東京に上京をした主人公・秋月大和が東京の高校で陸上をやっている朝比奈涼風に一目ぼれをして、陸上で成長をしていく様に恋愛を付け加えた物語である。
ヒロインの涼風は神奈川県の中学時代から陸上のスカウトを受け、東京の高校で陸上をやっていた。インターハイなどでも優勝を期待をされている名選手だったが、周囲の期待とは裏腹に記録が出ない大スランプに葛藤していた。
しかし涼風はある日、「何も感動をしないまま棒高跳びの新記録」を達成し、それが自信へとつながって成長をしていく。
大和は高校で涼風と同じ陸上部に入部をし、50mの短距離走で良いタイムを出して周囲から期待されはじめる、周囲から期待をされる逸材となった2人は、その後何度も衝突を繰り返すものの心も体も結ばれて、最終的には父親の反対を押し切り、社会人になって結婚をする。オリンピックでも陸上で金メダルを獲得するほどの好成績を残し、世間ではすっかり有名人となるというハッピーエンドを迎える。
この話の最大のポイントは、初体験をしたあとに涼風が妊娠するシーン。子供を育てられるはずがないと父親と対立をし、別れさせられるのではないかというところにドキドキさせられる。
最終的には父親も2人を試すだけで別れさせる気がなかった事が分かり、「よく耐えた」と大和を褒めていたシーンが印象的だった。
私もこのシーンに感動を覚えた読者の1人で、そこから瀬尾公治さんの作品の大ファンとなった。