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アンソニー・ホプキンスの演技が光る隠れた名品
売れないマジシャン、コーキー(アンソニー・ホプキンス)は腹話術にトライし、見事に売れる活路を見出します。しかし彼は故郷に帰りかつての恋人、現在の人妻ペギーに会います。ところが、もう彼は神経を病んでいて腹話術の人形を使わなければ自分の意志を表明することが出来なくなっていたのです。コーキーのマネージャーは彼の故郷まで訪ねてきて、コーキーが病んでいることを素早く見抜き、コーキーがどれだけ人形と接しないでいるかテストをします。マネージャーの思った通り、5分と人形を手放せなくなっているコーキー。次第に人形に操られていき彼はマネージャーを殺害してしまいます…というお話。この辺りのホプキンスの鬼気迫る演技は見もので、観ている私達に訴えかけてくる凄さは特筆に値すると思います。更にペギーの夫も殺害してしまうことになります。この映画はハッピーエンドにはなりません。ですが、私個人としては作品全体を覆う切ないテイストは非常に気に入っている次第であります。そこは監督であるリチャード・アッテンボローのなせる技です。とくに冒頭のコーキーのマジックを無視する観客たちを相手にカードマジックを披露するあたりはマジシャンの哀愁が漂ってきます。