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二度目の漫画化は好印象。アニメはやはり厳しい作品
本作は浅井ラボのライトノベル「されど罪人は竜と踊る」の漫画化作品である。2018年四月にアニメ化もされたが、やはり原作の世界観をよく表現できているのはこの漫画版であると言わざるを得ない。というのも原作は戦略や、思考、主人公の理屈といった見えない部分の文章量が非常に多い作品だからだ。いっそ説明的と言ってもよい。そういった原作の面白いところを、アニメという分かりやすい動きしかできない媒体ではどうしても表現できなかった。
しかしこの漫画版においては原作のいっそ過剰とも言える文章量を、絵の動きで表しつつ、動きを見ただけでは理解できない主人公の心の動きや、駆け引きなどを上手く書き込めている。もとより思考と戦闘を同時に行うような作品だ。漫画という文字と絵のハイブリッドな表現媒体にこれほど適したライトノベルもそうはないだろう。
アニメを見て、この作品はいったい何が面白くてアニメ化されたんだ、と疑問を持つ方は一度手に取ってみてはいかがだろうか。原作の煩雑な文章量が解消されて読みやすい一作に仕上がっている。
また原作のファンにも確実にお勧めできる稀有な漫画化作品だ。それは一原作ファンとして強く言える。ただ、絵としては宮城絵よりもザイン絵寄りで、宮城絵のされ竜が好きだったというファンはそこに抵抗を覚えるかもしれない。