クリーピー 偽りの隣人

クリーピー 偽りの隣人のレビュー・評価・感想

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クリーピー 偽りの隣人
7

ご近所付き合いの果てに…。

2016年に公開されたサスペンス映画です。題名のクリーピー(creepy)とは、「ぞっとするさま、ぞくぞくするさま」という意味の単語です。この単語が意味する様に、物語全編を通じて、どこか不気味で陰惨な雰囲気が漂う映画となっております。物語は、主人公の元刑事である高倉(演:西島秀俊)が、とある事件をきっかけに警察を退職し、大学で教鞭を振るいながら、妻である康子(演:竹内結子)と郊外に住宅を購入し、新しい街で新生活を送るところから始まります。康子は隣人宅へ「お近づきの印に…」とお菓子を配り歩きますが、その際にどこか得体の知れない雰囲気を持った隣人の西野(演:香川照之)に出くわします。終始ぶっきらぼうな西野の応対に面食らう康子でしたが、日を改めて伺うと一転笑顔を浮かべて接する西野。康子はそんな西野をどこか怪しいなと思いつつ近所付き合いを続けます。一方、夫である高倉は、ふとした会話から未解決事件である一家失踪事件に興味を持ち、警察時代の能力を活かし独自調査に乗り出します。康子と西野の関係性、高倉と西野の関係性、西野とかつての一家失踪事件の関連性、そして西野とはいったい何者なのか…。とても静かな描写が多く、徐々に「西野」という人物を中心に水紋が同心円状に広がる様に、物語が広く深く展開していきます。知ってしまったら、後戻りできないと分かっていながらも、知らずにはいられないという人間心理を巧みに利用しており、知らず知らずのうちに視聴者である私たちも西野という人間が持つ不気味な雰囲気に魅了されてしまいます。謎が謎を呼ぶ先の読めない展開がお好きな方には是非お勧めしたい映画です。

クリーピー 偽りの隣人
10

サイコパス感半端ない!

私は何の気なしに怖そうという感じでこの作品をレンタルしたのですが、想像をはるかに上回った怖さ、なんかもう隣人という存在に対する恐怖感が植え付けられました。これぞサイコパス!というか人間の恐ろしさが詰まっている作品だと思います。そういう作品が苦手な方には到底おすすめは出来ませんが、人間の怖さを味わいたい方には自信を持ってお勧めします。
まず、ある夫妻がメインのお話で、引越しをし新しい家の隣人に挨拶をしにいきます。その時点でなにかがおかしい隣人なのです。別に何をされたでもないのですが、会話のテンポが噛み合わない、感覚が噛み合わない。その絶妙な感じをめちゃめちゃ表現されています。演出も凄いですし、演者さんも凄いと思います。そしてその後どんどん狂っていくのですが、そこは割愛してオチについてです。
オチってめちゃめちゃ大事で、途中が良くても最後がダメだとその作品の総評が下がりますよね。その点で言うと、この作品は私の中で根強い秀逸さを今でも誇っています(事実2回も観てますし)。その理由なのですが、オチが適当でないところ。最近のホラーの邦画で多いのが皆死ぬエンドだと思っていて、それだとなんかあぁなんだ全員殺られたのか。くらいですが、この話は違います。登場人物が全て大変なことになってからまだ続きます。そこがまた良いのです。ホラーの邦画の中では群を抜いて私は秀逸だと思っておりますので、本当にオススメです。