黄金のアデーレ 名画の帰還

黄金のアデーレ 名画の帰還のレビュー・評価・感想

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黄金のアデーレ 名画の帰還
8

ナチスの戦争犯罪を描きつつも爽快なストーリー

第二次世界大戦において、ナチスから家族の大切な絵画を奪われた女性が、その絵画を所有しているオーストリア政府から返還してもらうまでの苦労や葛藤などを描いた作品です。
しかしながら、戦争映画のような派手さはなく、また、沈鬱な雰囲気もありません。
最後は爽快な気分にさせてくれる作品だと思います。
実話を基にしているストーリーとのことですが、実際にこのようなことが起きていたのかと考えると、驚くと同時に少し勇気も沸いてきます。
元々、主人公の女性の家族(叔母)が所有していた絵画は、グスタフ・クリムトが作成したもので、現在所有しているオーストリア政府にとっては、まさに国の宝と言えるものです。
これを普通の一般人である女性と駆け出しで売れていない弁護士が力を合わせて取り返す方法を考えていきます。
取り返すまでの苦悩や葛藤が、我々のような一般人でも共感できます。
舞台は、オーストリアとアメリカの二国を行き来しながら展開していきます。両国の背景や考え方が分かる点も面白いです。
現在はわかりませんが、アメリカという国は、個人の権利を大切にする国であることが良くわかります。
主演を務めたヘレン・ミレンは、演技力のある女優さんであると改めて感じました。
苦悩しながらも自分の過去に向き合い、最後には立ち上がる老婦人を上手に好演しています。
助演のライアン・レイノルズも好演していると思います。
最初は頼りなかったが、自分の使命感に目覚め、主人公を補佐する弁護士役を見事に演じています。
老婦人と若者というコンビも、この作品の一つの見どころになっているのではないかと感じます。
休日などにゆっくり鑑賞するのに適した映画だと思います。