薄桜鬼 碧血録

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薄桜鬼 碧血録
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混沌と激動の時代を強く儚く駆け抜けた新選組の幕末奇譚、堂々完結混沌と激動の時代を強く儚く駆け抜けた新選組の幕末奇譚、堂々完結

自ら変若水を飲み、羅刹と化した新選組副長・土方歳三。彼に好意を抱き始めていた千鶴は、局長不在の新選組を率いて昼夜問わず働く土方が心配で仕方がない。甲府城の守りを任されていた新選組だったが、敵はすでに入城を済ませていた!抗えない圧倒的な力を前に敗走を重ねてゆく新選組。土方と千鶴の恋の行方は、彼らの目指した「誠の武士」とは。決戦は最後の地・箱館へ。

乙女ゲームが原作の大人気アニメ「薄桜鬼」の続編。桜に例えられる男性ってそこまで多くはないと思いますが、さすがは鬼の副長・土方さん。散ることを恐れず狂い咲く姿。シリーズのタイトルにもなっている「薄桜鬼」の意味が、最後の決戦の地・箱館で明らかになります。
運命の波に翻弄され、幾度も繰り返されたかつての仲間との別離。池田屋事件で全国に名を轟かせた新選組も、時代の流れという圧倒的な力の前では抗えない。「もう刀や槍で、気合いで戦が出来る時代じゃなくなったんだよ」激しさを増す戦の中で、その現実だけが色濃くなってゆく。そんな切なさと儚さに号泣必至です。

「誠の旗は、武士として生きるすべての者の拠り所」それぞれの地でそれぞれの戦に向き合い、命が尽きる最後の最後まで自分の信念を貫き、「誠の武士」で在ろうとするその姿。さすがは新選組隊士、胸を打たれます。絶対に後へは退かないしたたかさ、一人一人の武士としての生き様に、最後の最後まで涙が止まりません。