シェイクスピアの有名な古典作品が現代の設定でヴィヴィッドなスクリーンの中描き出される!
有名なシェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」を、舞台を現代に置き換えてつくられた画期的な作品です。
バズ・ラーマン監督、レオナルド・ディカプリオ、クレア・デーンズ主演。原作では中世の町ヴェローナですが、この作品では現代の町並で名前だけが一緒になり、敵対する2家はギャング同士となっています。
当然出てくるアイテムも原作とは変わり、鎧や剣ではなく、アロハシャツや銃といった現代的な物になります。映画の中で使われている音楽もヒップホップやソウルミュージックで、もちろん美しいクラシック音楽もありますが、全体的にテンポのいいものになっていて、わずか数日間で駆け抜けた刹那的な恋を象徴するかのようです。
音楽の他に印象的なのは、色彩です。仮面舞踏会でのカラフルな仮装やアロハシャツもそうですが、一番の見どころは「水」の描写ではないでしょうか。
ロミオとジュリエットが初めて会うのは、なんと真っ青な美しい水槽ごしです。色鮮やかな熱帯魚が泳ぐ中、二人が青い水を挟んで出会い、急速に惹かれあう様子がとても美しいです。
ロミオとジュリエットが互いに敵同士の家の関係だと判明した後に、二人はジュリエットの部屋に面している青いプールで再会しますが、この時の水の揺れるさまがそのままジュリエットの戸惑いを表しているかのよう。そして水中でのキスシーンは水泡やたなびく髪など、とてもロマンティックです。
たとえ敵同士の家だとしても、すっかり惹かれあった二人は秘密の結婚までしますが、その後起こった事件によってロミオは町を追放されてしまいます。そして、ジュリエットは父親により望まない結婚を強いられ、それから逃れてロミオと一緒になるために仮死状態にするという薬を飲み、葬儀まで行われますが、この時にジュリエットが仮死状態であることを知らないロミオは、追放された町に強引に戻ってくるのです。
このシーンでは、街中のカーチェイスが過激な音楽と共に繰り広げられ、ロミオの愛の激しさを伝えてくれます。自分も後を追うために毒を手にしたロミオは、ジュリエットが安置されている教会に飛び込みますが、この時の教会内が青いネオンで彩られた十字架やたくさんのキャンドルなどで、とても幻想的です。
結末は、ジュリエットが死んだと思ったロミオが毒を飲んで死んでしまい、それを目にしたジュリエットも銃で自殺してしまいます。
使われている物はわずかに違いますが、お互いがいなくては生きてはいけないという過激な愛であることに変わりはありません。
この映画はエキセントリックさと、ロマンティックさが両方楽しめます。そして中世に書かれた話であるにもかかわらず、現代に置き換えてもまったく違和感がありません。
劇的な恋に落ちて、傍から見れば愚かなすれ違いがあり命を落とす恋人たちですが、「恋する」ということは数百年たっても変わらないものなのでしょう。
過激でロマンティックで色鮮やかな画面でつづられる現代版「ロミオ&ジュリエット」は、シェイクスピアを知らない人にもオススメです。