身近な恐怖こそがゾンビ物
この作品の大筋は以下の通りだ。
とある田舎の学校の給食、そのなかのナゲットにウィルスが含まれており、子供たちが一斉にゾンビ化。先生たちは子供ゾンビあふれる学校から脱出を計る、というものだ。
ハッキリ言ってこの映画は低予算だ。本物と見間違えるようなCGや特殊メイク、広大なセットなどは一切ない。役者も知っている人物は皆無だった。
だがそれでだけでこの映画をクソとは言えないはずだ。ターミネーターだって低予算だ。ほかに注目すべき所がたくさんある。
まず、ゾンビ物に大事なものとは身近な恐怖だと思う。友人が、家族が、突然化け物となり時も場所も選ばず襲い掛かる。そういう恐怖だ。最近のゾンビ物にはこのようなスリルは失われたようにわたしは感じていた。だがこの作品では誰もが知る学校という空間で、生徒が毎日顔を合わせている教師を貪り食うのだ。教室で、校庭のブランコの傍で、階段の傍で、それは起こっている。一見コメディチックな作品ではあるが、背筋に這い寄るような寒気を体感できるだろう。
また、この作品ではゾンビ物での醍醐味とも言える要素を持っている。そう、自作武器だ。誰もが一度は考えたことがあるであろう「もし学校にゾンビがきたら」、その時まず考えるのは武器の調達以外に無い。学校にあるものを思い浮かべ、組み合わせ、工夫してゾンビを撃退する。それがこの作品では余すことなく行われている。文句なしだ。
以上の点から、この作品は一見チープだが中身は丁寧に仕上げられた良作といえる。隠れた名店を訪ねるように視聴してほしい。