本日の神降ろし

本日の神降ろし

『本日の神降ろし』とは、八咫緑による漫画である。主人公は、真面目過ぎるがゆえにアルバイトをクビになってしまった高校生・高月倫太郎。次の働き先を探す中、小説家の兄に頼まれて名作に登場するメニューを再現することになる。再現レシピを通し、クラスで浮いていた倫太郎にも徐々に変化が表れていく。スクウェア・エニックスの「ガンガンコミックスONLINE」および「ガンガンONLINE」にて、2018年から連載された。

本日の神降ろしのレビュー・評価・感想

本日の神降ろし
9

大の大人でも充分受け入れられるリアリティ

『本日の神降ろし』とは、スクウェア・エニックスの「ガンガンONLINE」で連載されている作品である。売れっ子小説家の兄・高月竜之介の為に、弟・高月倫太郎が「テーマ料理」を作って、兄を物語の世界に誘ってあげるというグルメ漫画である。何が面白いのかと言うと、少年漫画の作品であるのに、内容がかなり「大人」向けであるところが良い。兄自身は漫画などには縁のなさそうないわゆるハードな小説家で、扱われるテーマも「赤毛のアン」「名探偵ポアロ」「タイタニック」「宮沢賢治」「アーサー王」「番町皿屋敷」など、「スクウェア・エニックス」と並べると違和感のある作品名が並ぶ。内容も、少年が主人公で、学園のシーンもあり、恋愛もあり、少年漫画と呼ぶことができるが、ほぼ兄の話でもあり、使われている言葉遣いや風景、世界観なども、大の大人でも充分受け入れられるリアリティのある作りになっているので、どこかターゲット不明な香りがして良い。アニメ化と言うよりも、実写化が似合いそうな作品である。また、兄も弟も少し浮世離れしており、なかなか社会に馴染めない所もまたいわゆる「人気の出るキャラ漫画」の要素を満たしている。沢山の人が共感しそうだ。