生きてこそ

生きてこそのレビュー・評価・感想

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生きてこそ
10

人の可能性を信じるという意味

1970年代、南米で起きた小型飛行機墜落事故の実話です。
医学生、ラグビー部を乗せた小型飛行機は遠征でチリを目指していましたが、飛行機は冬のアンデス山脈に墜落。墜落から生き残った学生たちの遭難とサバイバルを描いた作品。
わずかのチョコレートとワインで捜索隊を待つが、1週間後、ラジオから捜索隊打ち切りの知らせが流れる。雪崩や飢えでなくなっていく友人の数は増えていく。
80日を超えるサバイバルの物語の中で、神、友情、人の可能性が生む奇跡など、メッセージの高い作品になっている。
生き残るためには、たんぱく質が必要だと医学生たちは知っていた、やがてなくなった友人…人肉を口にするときがやってくる。信仰(神)を恐れて食べないものもいた。やがて春が近づいてきたころ、生き残ったもの数は減り、”このままでは動物になってしまう”。登場人物の一人がアンデスの山を越えて自ら助かる道しか残されていないことを主張、有志を募り、墜落現場を発つ。永遠に続くアンデスの山々、太陽に近い気高い山の中で、夕日を指さし”あれは神、僕たちをここまで生かされた奇跡”ーそう、もうすぐ沈む太陽の方向はまさしく、西を指す、その方向には緑の谷、小川、そして春が待っている。