キリング・ゲーム

キリング・ゲーム

『キリング・ゲーム』とは、ジャック・カーリイによるミステリー小説。連続殺人が発生したが、凶器も手口もバラバラで、被害者同士にもつながりはない。唯一の共通点は現場に遺された1セント硬貨だけだった。ルーマニアで心理実験の実験台になった犯人の心の闇に大胆な罠を仕込んだシリーズ屈指の驚愕作。

キリング・ゲームのレビュー・評価・感想

キリング・ゲーム
10

ぞくぞくする犯罪者心理

キリング・ゲームとはジャック・カーリイによる小説です。
主人公のカーソン・ライダー刑事はもちろん、出てくる人物全てが魅力的でした。
その中でも犯人、グレゴリー・ニーヴスが犯行に至るまでの経緯が読んでてぞくぞくしました。歪んだ、グレゴリーの中だけでの真実がきっかけで殺人事件が始まる。最初はグレゴリーに対する警察官の横暴さ故の犯行かと思いきや、読みすすめていくとグレゴリーの歪んだ思考が明らかになってぞわっとしました。
グレゴリーが何故歪んだ、狂った人格になってしまったのか?そこには孤児院で経験した壮絶な体験が大きく関わっています。更には姉であるエマの存在も。
常人では理解できない思考を持つグレゴリーの標的になるのが、主人公のライダー刑事です。彼は優秀が故に、グレゴリーに“警察官の象徴”として捉えられ、警察に対する復讐=ライダー刑事を苦しめズタボロにする、という何とも理不尽な巻き込まれ方をするわけです。
初めは全く繋がりを持たなかった事件たちが、徐々に繋がりを持ち、犯人であるグレゴリーへと到達するまでページをめくる手が止まりませんでした。
最後は本当に衝撃で、すべての黒幕が分かった瞬間どうしようもない絶望、もやもやが生まれました。
何回でも読み直したくなる作品です。