夜空はいつでも最高密度の青色だ

夜空はいつでも最高密度の青色だのレビュー・評価・感想

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夜空はいつでも最高密度の青色だ
8

生きることに向き合うこと

この映画は死と生と愛と向き合いながら生きる男女の青春映画だと思う。
冒頭語りかけるように呟くように始まる彼女の言葉は、ひとつひとつ重みがあってズシンとくる。映画全体リアルに描かれているのが余計臨場感を沸かせた。
主人公を務めた石橋静河は、特別可愛いわけでも、有名な女優でもないが、何か引き込まれるような魅力があった。特に目立つこともない凡庸な女の子らしさがかえって良かったのかもしれない。また、池松壮亮の演技も良かった。人知れぬ不安と共に生きながら、人を受け止めようとする彼の姿はとても強く見えた。最後までキスシーンはおろか、抱き合うことも手を繋ぐこともなかった二人だが、彼女たちの愛は紛れもなくそこにあった。そこに生まれていたと私は感じた。
死と向き合い、生を感じ、愛を得た彼女たちは強く大きく見えた。必死にもがきながら生きることは素敵だと思った。どんなに辛く苦しい道でも、何か少しの希望があれば生きていけるのだと思った。その希望が夢か、愛か、ちょっとした出会いか、少しの収入か何なのかはわからないけど、何か見つけたら人は必死にもがくことができるのだと思った。生きることに迷っている人やこれからに不安を持つ若者に見て欲しい映画だ。