夜空はいつでも最高密度の青色だ

夜空はいつでも最高密度の青色だ

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は2016年4月22日に発行された最果タヒの詩集、およびそれを原作とする映画。詩集は全43篇が収録されている。ブックデザインは佐々木俊。収録作の多くはインターネットが初出となっている。
映画は『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』のタイトルで2017年5月13日に公開。監督・脚本は石井裕也が務める。主演は石橋静河と池松壮亮の2人で、石橋にとっては映画初主演作となった。
原作の詩集の中にはストーリーはないが、東京を舞台にした1組の男女のラブストーリーとして制作されている。映画は第67回ベルリン国際映画祭において、フォーラム部門に入選した。

夜空はいつでも最高密度の青色だのレビュー・評価・感想

夜空はいつでも最高密度の青色だ
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生きることに向き合うこと

この映画は死と生と愛と向き合いながら生きる男女の青春映画だと思う。
冒頭語りかけるように呟くように始まる彼女の言葉は、ひとつひとつ重みがあってズシンとくる。映画全体リアルに描かれているのが余計臨場感を沸かせた。
主人公を務めた石橋静河は、特別可愛いわけでも、有名な女優でもないが、何か引き込まれるような魅力があった。特に目立つこともない凡庸な女の子らしさがかえって良かったのかもしれない。また、池松壮亮の演技も良かった。人知れぬ不安と共に生きながら、人を受け止めようとする彼の姿はとても強く見えた。最後までキスシーンはおろか、抱き合うことも手を繋ぐこともなかった二人だが、彼女たちの愛は紛れもなくそこにあった。そこに生まれていたと私は感じた。
死と向き合い、生を感じ、愛を得た彼女たちは強く大きく見えた。必死にもがきながら生きることは素敵だと思った。どんなに辛く苦しい道でも、何か少しの希望があれば生きていけるのだと思った。その希望が夢か、愛か、ちょっとした出会いか、少しの収入か何なのかはわからないけど、何か見つけたら人は必死にもがくことができるのだと思った。生きることに迷っている人やこれからに不安を持つ若者に見て欲しい映画だ。