予告犯

予告犯

『予告犯』は、筒井哲也によるサスペンス漫画。集英社の『ジャンプ改』にて、2011年から2013年9号まで連載された。単行本は全3巻。ネット上では“シンブンシ”と呼ばれている新聞男が、主にSNS上で炎上した者に対して犯罪予告を行い、制裁を行っている。新聞男はカリスマ的な人気を博すようになり、模倣犯が現れるなど社会現象を巻き起こしていく。2015年6月6日には生田斗真主演で実写映画が公開された。

予告犯の関連記事

予告犯のレビュー・評価・感想

予告犯
10

今のご時世に切り込みを入れた作品

この漫画が発売されたのは少し前ですが、当時、話題になっていたニュース(食品偽装や飲食店での異物混入事件など)を作品内に多く取り入れています。そしてその事件を犯した首謀者にネットで報復予告をし、予告通りに報復をしていきます。
この一連の行動は実はあるひとつの目的のために行っているのですが、自分はそれよりも事件に対する報復行為に心を惹かれました。作品内で出た事件の中でも、現実にもある某犯捕鯨団体に対する報復行為に心打たれました。リアルでもこの団体の行動には憤りを感じる事が多くあり、仮想の世界での報復行為とはいえ、報復を目の当たりにした時は「ざまーみろ!」と声を上げたのを今でも覚えています。
この作者は、取り扱う事件に対してよく下調べをしていると思います。そうであるからこそ、あれ程までに現実感ある描写できるんだと思います。こういった作者の姿勢、行動は私は好きです。
また、この作品の主人公は個人的に凄く感情移入しやすいです。恐らく就職した会社が真っ当な会社であれば、優秀な人材に育ったであろう主人公ですが、作品内では非正規の、いわゆる底辺な生活をしています。これは今の時代でもよく見られる事だと思います。でもそんな底辺の生活を歩む人にもちゃんとした考えがあるんだし、いくら不況な世の中だと言っても経営者もやっていい事と悪い事があります。そんな不遇な対応をしている人間にはいつか罰が下るんだぞ。とこの作品を読み終えて強く心に思いました。