美しい色づかいに癒される映画
原作はないのですが、まるで児童書を映画にしたような作品です。家族で見たり、お子様にお勧めの作品です。
画面の細部にまでこだわっているのか、どのシーンを見ても色づかいが大変美しいです。音楽も静かで優しい感じのものが多く、寝る前に観るのにもお勧めです。
この映画にはいくつもの対比表現が散りばめられています。例えば、映画が始まったばかりのシーンでいきなり最終章のナレーションが始まります。終わりなのに始まりです。また劇中に登場する「大人になってから不安になる?利口になるはずなのに?」という少年のナレーションが印象的でした。完成してるはずなのに、どこか未完成。成長したはずなのに、踏み出せず悩む大人。この映画の主人公はそんな主人公の女性、モリーの成長を描いています。
キャラクターのセリフ回しや展開などの随所に優しさが満ちていて、観終わると暖かい気持ちになりました。
詳細には語られないのですが、キャラクターそれぞれに深い設定があり、それら全てがさらりと流されます。人によっては中途半端に感じるかもしれませんが、想像の余地があって私は好ましいと思います。例えば数百年生きたおもちゃ屋の店主、マゴリアムおじさんおじさんの過去など大変興味深いです。もし続編があるなら、ぜひ今度はマゴリアムさんの若い頃を描いて頂きたいと思います。