鉄コン筋クリート / Tekkon Kinkreet

鉄コン筋クリート / Tekkon Kinkreet

『鉄コン筋クリート』とは、1993年から1994年にかけ『ビッグコミックスピリッツ』にて連載された松本大洋による漫画作品。
2006年に劇場アニメ化され、松本大洋の出世作と言われている。
本作品はヤクザやチンピラ絡みの暴力沙汰が絶えない「宝町」という街を舞台に、孤児であるクロとシロが驚異的な身体能力と子供とは思えない破壊的な力を武器に強く逞しく生き抜く姿を描く。

鉄コン筋クリート / Tekkon Kinkreetのレビュー・評価・感想

鉄コン筋クリート / Tekkon Kinkreet
9

変わらないもの

パッケージのイラストに惹かれて観たので、最初は正直面白くなさそうだと思っていました。ですが実際に観てみたら、想像していた以上に物語に深い意味があり、強い中毒性のあるアニメ映画であったと言えます。
登場人物の名前がなんとも変わっているのですが、そこにもちゃんとした意味があると知りました。正直シロとクロが本当の兄弟かは分かりませんが、二人はどちらかが欠けてしまったら自分ではなくなってしまう、二人で一人なのだと思いました。人間に誰しもある白と黒い部分、その感情の動きを二人の子どもで表しているのではないかと思いました。そして、自分たちが愛する街が崩れ去ろうとするのを放っておけないと立ち向かうクロの姿、クロを心配しながら傍にいたいと願うシロの姿に目が離せませんでした。
ヤクザである鈴木と、その舎弟頭である木村との関係性がとても素敵です。恐れられる存在であるヤクザの二人も、自分たちが住んだ「宝街」を開発されてしまうことには猛反対をするところが、本当は義理人情のある繊細で心の優しい人たちなのではないかと思いました。
いろいろな物事が騒々しく移り変わってしまう世の中だからこそ、このアニメ映画を観ると感慨深いものがあると思います。